高齢犬が旋回する・ボーッとするのは認知症?脳の病気との違いと受診の目安

「愛犬がぼんやりとしている時間が増えた」
「同じ方向へぐるぐる回る」
「呼んでも反応が鈍い」

高齢の愛犬にこれまでと違う様子が見られると、年齢による変化なのか心配になる飼い主様もいらっしゃるでしょう。

こうした変化は「認知症」で表れることがあります。

その一方で、脳や平衡感覚に関わる病気でも似た症状が見られるため、年齢だけを理由に判断することはできません。

今回は、高齢犬の認知症で見られる変化、似た症状を示す脳・神経の病気、受診の目安について解説します。

目次

高齢犬の認知症(認知機能不全)で見られる変化

シニア期の犬に見られる認知症(認知機能不全)は、加齢に伴って脳の機能が少しずつ低下し、行動や生活に変化が表れる病気です。

一般的には数か月以上かけてゆっくりと進行しますが、個体差があります。初期には目立った変化は少なく「高齢になったから」と受け止められやすい傾向があります。

主に見られる変化は次のとおりです。

・昼に眠る時間が増え、夜に起きて歩き回る
・夜鳴きが増える
・壁や家具の間などの狭い場所に入り込み、戻れなくなる
・慣れた室内で迷う、壁を見つめて動かない
・トイレ以外の場所で排泄する
・飼い主様への反応や関わりが以前より少なくなる
・目的がないように歩き続ける、同じ場所を旋回する
・これまでできていた指示への反応が鈍くなる

しかし、認知症は行動の変化だけで診断できる病気ではありません。痛み、内臓の病気、視力や聴力の低下などでも生活リズムや反応は変わるため、ほかの原因がないかを丁寧に確認する必要があります。

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似た症状が表れる脳・神経の病気

認知症と似た症状が表れる主な病気は次のとおりです。

〈脳腫瘍〉
発生した場所によって、旋回、反応の低下、行動の変化、発作などが表れます。症状が徐々に進む場合もあります。

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〈脳炎〉
脳に炎症が起こり、発作、意識や行動の変化、歩行異常などにつながります。

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〈脳梗塞〉
脳の血流が途絶えることで、歩き方や意識などに急な異常が表れることがあります。

犬の脳梗塞についてより詳しく知りたい方はこちら

〈前庭疾患〉
平衡感覚に関わる部位の異常により、首の傾き、ふらつき、旋回、目が細かく揺れる眼振などが見られます。

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〈発作を起こす病気〉
けいれんだけでなく、動きが止まる、呼びかけに反応しない、同じ動作を繰り返すなどの発作もあります。発作後にしばらくボーッとしたり、歩き回ったりすることもあります。

犬の発作・けいれんについてより詳しく知りたい方はこちら

「認知症か、それ以外の病気か」をご家庭で見分けることは難しいため、このような症状が見られたら早めに動物病院へ相談しましょう。

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認知症か脳の病気かを考えるために伝えたい観察ポイント

普段と違う様子が見られたら、次の点を記録しておくと診察の手がかりになります。症状が出ている様子を安全な範囲で動画に残すことも有用です。

・症状は突然始まったか、数週間から数か月かけて少しずつ表れたか
・旋回する方向はいつも同じか、左右どちらにも回るか
・首が左右どちらかに傾いていないか
・眼振がないか
・ふらつく、転ぶ、まっすぐ歩けないなどの変化はないか
・けいれん、体の一部の震え、意識や反応が途切れる様子はないか
・食欲、飲水量、排泄、睡眠に変化はないか
・名前以外の生活音にも反応しにくくなっていないか

「反応が鈍くなる」原因には聴力が関係する場合もあります。聞こえと脳・神経の問題が併存する可能性もあり、反応だけで認知症とは判断できません。

難聴と脳・神経の病気についてより詳しく知りたい方はこちら

観察するときは、無理に歩かせたり、大きな音で何度も反応を試したりしないようにしましょう。転倒しそうな場合は階段や家具の角から離し、落ち着いた環境で見守ります。

急な旋回や発作は早めの受診が必要

以前から少しずつ見られる行動の変化であっても、日常生活に影響している場合は早めに相談できると安心につながります。

特に、次のような症状は脳・神経の病気が関係している可能性があるため、できるだけ早い受診が必要です。

旋回や反応の低下が突然始まった
短期間で症状が悪化している
片側だけに回る、片側の足や顔に異常がある
発作が起きた、発作を繰り返している
意識がもうろうとしている、呼びかけにほとんど反応しない
立てない、激しくふらつく
首の傾きや眼振を伴う

発作が5分以上続く場合や、意識が十分に戻らないまま発作を繰り返す場合は緊急性が高いため、動物病院へ連絡したうえで速やかに受診してください。

緊急性の高い脳の病気についてより詳しく知りたい方はこちら

犬の認知症はどう診断する?動物病院で行う検査

診察では、いつからどのような変化があるのかを飼い主様から伺い、全身状態を確認します。

そのうえで神経学的検査を行い、意識や反応、歩き方、姿勢、反射などから、脳や神経のどの部位に異常が疑われるかを検討します。

神経学的検査についてより詳しく知りたい方はこちら

必要に応じて血液検査や尿検査を行い、低血糖、肝臓・腎臓の異常、ホルモンの病気など反応や行動に影響する全身性の病気を調べます。

さらに、脳の病気が疑われる場合には画像検査も検討します。

とがさき動物病院では院内にあるCTを活用し、症状と検査目的に応じて診断を進めています。脳の状態をより詳しく確認するためにMRIが必要と判断した場合には、連携する外部施設をご案内します。

犬の脳のMRI・CT検査についてより詳しく知りたい方はこちら

検査は症状、全身状態、持病、検査で得られる情報などを踏まえて、飼い主様と相談しながら選択します。

愛犬が認知症だと診断されたら

ほかの病気を確認したうえで認知症と考えられる場合も、動物病院では共にできることを検討して、サポートをしていきます。

例えば、状態に応じて食事内容を見直したり、薬を使用したりすることがあります。また、夜鳴きや排泄の失敗など飼い主様が困っていることも伺い、無理なく続けられる付き合い方もアドバイスいたします。

さらに、ご家庭では次のような工夫もできます。

・食事や散歩、就寝の時間をできるだけ一定にし、無理のない範囲で生活リズムを整える
・家具の配置をなるべく変えず、寝床やトイレまで移動しやすい環境をつくる
・滑りやすい床にマットを敷き、階段や段差に柵を設置して、滑りや転倒を防ぐ

認知症との付き合い方に迷ったときは、飼い主様だけで抱え込まず、愛犬とご家族が穏やかに過ごせる方法を一緒に考えていきましょう。

まとめ

高齢犬がぼんやりする、旋回する、呼んでも反応が鈍いといった変化は、認知症で見られる一方、脳腫瘍、脳炎、脳梗塞、前庭疾患、発作を起こす病気などでも表れます。

認知症はゆっくり進む傾向がありますが、経過だけで脳の病気と切り分けることはできません。

「年齢のせいかもしれない」と受診すべきか判断に迷うような小さな変化についても、お気軽にお聞かせください。

当院では2026年6月現在、全国で27名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様のお悩みに幅広くお応えできるよう日々研鑽を続けております。高齢犬の認知症や脳・神経の症状についてお困りの際は、当院へご相談ください。


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監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-09-11

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