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犬と猫の脳炎について│歩行・行動の異常や発作などがみられたら脳炎の可能性が

2023/07/31

ご家庭の犬や猫が突然意識を失ったり、ぐるぐると回り続けるような行動がみられたり、手足が動かなくなったりする場合、脳炎が考えられます。とはいっても、脳の病気には様々な原因があり、中には直接的な原因がわからないものもあります。今回は犬や猫の脳炎について、分類をご紹介したうえで、その症状や治療法を解説します。

■目次
1.脳炎の分類
2.MUOの原因・症状
3.MUOの診断
4.MUOの治療
5.ご家庭での注意点
6.まとめ

■脳炎の分類

犬や猫の脳炎は、感染性、非感染性の2つに分類されます
感染性脳炎は様々な細菌やウィルスが原因になる可能性がありますが、犬ではジステンパーウイルス、猫では伝染性腹膜炎ウイルスなどの感染により発症することがあります

非感染性脳炎は特に犬でよくみられ、その大部分は、起源不明の髄膜脳脊髄炎(MUO:Meningoencephalomyelitis of unknown origin)に分類されます

MUOは壊死性髄膜脳炎(NME)、壊死性白質脳炎(NLE)、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)の3つの病気をまとめた用語ですが、確定診断を下すのが難しいため、大きな分類としてMUOと診断されるケースが一般的です。

また、中耳炎や鼻腔内の炎症から波及して、二次性脳炎を起こすこともあります。

■MUOの原因・症状

病気の名前に「起源不明」とあるように、MUOを生前診断で特定することは困難です。世界中で様々な研究がなされており、現在のところ、好発犬種がいること(主に小型犬)、免疫介在性の病気(自己免疫性疾患)であることがわかっています。また、いずれも若いとき(主に6歳未満)によく発症するといわれています。

■MUOの診断

動物病院では、症状や年齢をお聞きして暫定的に診断します。てんかんや脳の腫瘍、感染性脳炎といった他の病気を除外するためには、MRI検査や脳脊髄液検査を行う必要があります。

■MUOの治療

MUOは免疫介在性の病気のため、免疫抑制剤を用いて治療します。ステロイドの投与が基本とはなりますが、副作用を軽減できるよう配慮しながら、その他の薬剤も併用して治療を行います。治療の効果は様々で、1年以上コントロールできる場合もあれば、来院から2カ月ほどで亡くなってしまうこともあります。長く健康に過ごすためには、早期発見・早期治療がとても大切になってきます。

■ご家庭での注意点

感染性脳炎ではワクチン接種が予防につながりますが、その他の脳炎では予防法はありません。普段からご家庭の犬・猫の様子を観察すること、定期的な健康診断が重要です。

■まとめ

脳の病気は症状が特徴的ですが、神経病を専門とする獣医師でなければ、的確な診断をいち早くできないこともあります。当院では診断から治療まで、MUOの症例を数多く経験しています。今回ご紹介した犬種を飼育していて、脳炎が疑われるような症状(歩行・行動の異常や発作など)がみられたら、お気軽にご相談ください。

当院では2022年11月現在、全国で14名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
脳炎について気になることがあれば、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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<参考文献>
Perspectives on meningoencephalomyelitis of unknown origin – PubMed (nih.gov)
Perspectives on pharmacologic strategies in the management of meningoencephalomyelitis of unknown origin in dogs – PubMed (nih.gov)

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