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愛犬を呼んでも反応しないのはなぜ?難聴や脳・神経の病気に気づくために
「以前は名前を呼ぶとすぐに振り向いたのに、最近は反応が薄い」
「物音がしても眠ったまま」
このような変化があると、年齢のためか、病気のサインなのか迷う飼い主様も多いのではないでしょうか。
犬が呼んでも反応しないときは、加齢による難聴だけでなく、耳の病気や脳・神経の異常、認知機能の低下など、複数の原因が考えられます。
そのため「聞こえ」以外の問題とあわせて観察することが大切です。
今回は、犬が音に鈍くなったときの原因、「耳」と「脳・神経」の病気の違いや受診の目安について解説します。

呼びかけに反応しないときに見られる変化
犬の聴力は少しずつ低下することがあります。片耳だけの難聴や一部の音域に限られた聴力低下は、気づきにくいケースも少なくありません。
そこで、次の変化を確認しましょう。
・名前を呼んでも振り向かないことが増えた
・インターホンや食器の音に反応しなくなった
・大きな音がしても眠り続けている
・背後から触れると驚いたり、身をすくめたりする
・声による指示に従いにくくなった
・鳴き声が以前より大きくなった
・音がした方向を探しにくそうにする
眠りが深いときにも反応は弱くなります。1回だけの反応の鈍さで判断せず、どんな音に、どの距離から反応しにくいのかを確認できると診察時の手がかりになります。
音に鈍くなる原因|加齢/耳/脳・神経
犬が音に鈍くなる原因は、音が耳の奥までうまく伝わらないケースと、音を感じ取る働きそのものが低下しているケース(難聴)に分けられます。
耳の最も奥にある「内耳」には音を感じ取る器官があり、その働きが低下すると、聞こえにくくなることがあるのです。
また、音は聞こえていても、脳がその情報をうまく認識できず、呼びかけへの反応が薄くなることも考えられます。
加齢に伴う聴力の低下
シニア期に入った犬は、内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」という音を感じ取る器官や、耳で受け取った音を脳へ伝える神経の働きが衰え、聴力が徐々に低下することがあります。
加齢性の難聴を元の状態に戻すことは難しいものの、合図の出し方や生活環境を工夫することで、意思疎通の助けになります。
外耳炎・中耳炎など耳の病気
耳垢がたまっていたり、外耳道に強い腫れが表れたりすると、音が内耳へ伝わりにくくなります。外耳炎が慢性化して中耳や内耳に炎症が広がるケースもあります。
このようなサインは耳の病気が疑われます。
・耳をかく
・頭を振る
・耳からニオイがする
・耳を触られるのを嫌がる
しかし「頭の傾きやふらつき」や「同じ方向へ回る動きがある」場合は、平衡感覚を担う内耳や脳の異常も考える必要があります。
脳・神経の病気や認知機能の低下
呼びかけへの反応が弱い原因は、聴力だけとは限りません。脳炎、脳腫瘍、脳血管障害などの脳に関わる病気によって、意識や行動、音への反応に変化が表れる場合があります。
また、高齢犬では認知機能不全症候群(認知症)により、周囲への関心が薄れたり、これまで理解していた指示に反応しにくくなったりすることがあります。
脳・神経の異常では、音への反応の鈍さに加えて、次のような変化を伴うことがあります。
・ぼんやりしている時間が増えた
・性格や家族との関わり方が変わった
・同じ場所をぐるぐる回る
・壁や家具の間で動けなくなる
・歩くとふらつく、足を引きずる
・目が揺れる
・昼夜が逆転し、夜鳴きが増えた
・音以外の刺激への反応も弱い
・いつもの場所で迷う
脳・神経の状態も含めて動物病院で確認してもらいましょう。
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受診の目安
「耳が遠くなった」「以前より聞こえづらそう」と感じた段階で、一度動物病院へ相談しましょう。
加齢による変化に見えても、耳の病気や脳・神経の異常が関係している可能性があるため、早めに状態を確認することが大切です。
愛犬の反応や歩き方を動画で撮影し、変化が始まった時期、反応する音、服用中の薬を整理しておくと受診の際に役立ちます。
ただし、聞こえ方を確かめるために、大きな音を耳の近くで鳴らすなど、強い刺激を与えることは避けてください。
以下の症状が表れた場合は、できるだけ早めに動物病院へ相談してください。
・突然反応しなくなった
・耳の赤みや痛み、ニオイを伴う
・呼びかけだけでなく周囲への反応も乏しい
・ふらつきや頭の傾き
・けいれん
・意識状態の変化
「立ち上がることができない」「けいれんを繰り返す」「意識が戻らない」場合は、様子見をするのではなく、すぐに受診可能な動物病院へ連絡してください。
動物病院における検査
動物病院では、最初に問診にて、飼い主様に「いつから始まったか」「急に変化したか」「左右差があるか」「耳の症状や行動の変化を伴うか」などを伺って原因を絞り込んでいきます。
〈耳(聴力)の診察・検査〉
耳鏡を使って外耳道や鼓膜を観察し、耳垢、炎症、異物などを調べます。必要に応じて耳垢の検査や画像検査を行います。
聴力を客観的に調べる方法には、脳幹聴覚誘発反応(BAER)検査があり、実施の要否や検査施設は症状に応じて検討します。
〈脳・神経の検査〉
神経の関与が疑われる場合は、意識状態、姿勢、歩き方、反射、脳神経の働きなどを確認する神経学的検査を行います。
その結果をもとに、血液検査やCT検査を選択し、MRI検査が必要な場合は外部検査施設をご案内します。
すべての犬で一律の検査を行うのではなく、年齢や全身状態、症状の経過を踏まえて検査を組み合わせていきます。
耳と脳・神経、全身を診るとがさき動物病院の診療
とがさき動物病院では、耳の状態だけでなく、意識や行動、歩き方などを含めて診察し、反応の鈍さがどこから生じているのかを順に検討します。
当院は神経疾患・整形外科疾患の診療にも力を入れています。院内でのCT検査に対応し、MRI検査が必要な場合は外部検査施設をご案内しています。
「年齢のため」と思っていた変化にも、治療を検討できる耳の病気や、早めに把握したい脳・神経の異常が隠れていることがあります。
「耳の聞こえが悪いのか、ほかに原因があるのかわからない」というときも、一人で悩まずに当院にご相談ください。
愛犬を支える家庭での工夫
音が聞こえにくかったり、周囲の状況を把握しにくかったりする犬は、人の接近に気づかず、突然触れられたことに驚く場合があります。
また、これまで理解できていた合図がわからなくなり、戸惑いや不安を感じることもあるでしょう。
聴力が低下している場合は、視覚・嗅覚や振動など、聴覚以外の方法で情報を伝えることが大切です。
正面からゆっくり近づいたり、手の合図や床から伝わる振動を使ったりすると、人の存在や意図を伝えやすくなります。
また、次のような工夫も取り入れられます。
・屋外ではリードを外さない:車や自転車などの接近に気づきにくいため、散歩中はリードを装着します。
・生活環境を大きく変えない:家具や食器、寝床の位置をできるだけ固定し、犬が室内で迷いにくい環境を整えます。
・反応や行動の変化を記録する:反応しにくい音や時間帯、歩き方などを動画やメモに残し、変化が続く場合は獣医師へ伝えます。
聞こえ方や周囲への反応が変化しても、情報の伝え方や生活環境を工夫することで、犬の戸惑いを和らげられる場合があります。その子の様子に合わせて落ち着いて接することが大切です。
犬のCT・MRI検査についてより詳しく知りたい方はこちら
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まとめ
犬が呼んでも反応しない原因には、加齢性難聴、外耳炎や中耳炎、脳・神経の病気、認知機能の低下などが考えられます。
音だけに反応しないのか、行動や歩き方にも変化があるのかが、見極めるうえで大切な情報です。
変化を動画やメモに残し、耳と神経の両面から確認することで、その犬に必要な対応を検討しやすくなります。
当院は予約制ではありません。「以前より耳が遠くなった」「呼びかけへの反応が薄く、歩き方にも変化がある」といった場合も、診療時間内にご来院ください。
当院では2026年6月現在、全国で27名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心に、飼い主様に寄り添ったやさしい医療を提供できるよう、日々研鑽を続けております。耳の状態だけでなく、意識や行動、歩き方なども確認しながら、必要な検査や治療方針を検討します。
愛犬が呼んでも反応しない、音に鈍くなったと感じる場合は、年齢による変化と決めつけず、当院へご相談ください。
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
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監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-09-09
