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前庭疾患は再発するの? 再受診の目安と見逃してはいけないサイン

2026/05/24

〈この記事の要約〉

「前庭疾患は治ったと思っていたのに、またふらついている」「一度よくなったのに、同じような症状が出てきた」そんな変化に、不安を感じる飼い主様も多いのではないでしょうか。

前庭疾患は、原因によっては症状がぶり返したり、再発のように見える異変が起こったりすることがあります。実際には、本当の再発だけでなく、回復途中の不安定さや、別の病気が関わっているケースもあるため「また同じ症状だろう」と自己判断しないことが大切です。

特に、次のような変化がある場合は早めの受診をおすすめします。
・ふらつきや眼振が24時間以上続いている
・以前より症状が強い
・食欲がなく、ぐったりしている
・意識がぼんやりしている、反応が鈍い
・薬を使っているのに改善しない

この記事では、前庭疾患の再発が疑われるサインや、再受診の目安、ご家庭で気をつけたいケアのポイントについてわかりやすくご紹介します。

■目次
1.前庭疾患とは?
2.「治った」と感じても…再発が疑われる理由
3.再発と新たな異変を見分けるポイント
4.再発リスクを高める背景因子
5.再受診のタイミング
6.動物病院で行う診察と検査
7.改善後のケアと予防的な考え方
8.まとめ

 

前庭疾患とは?

前庭疾患とは、体のバランスを保つ働きを担う「前庭」に異常が起きることで現れる症状の総称です。
主な症状としては、次のようなものがあります。

首が斜めに傾く
目が左右あるいは上下に細かく揺れる(眼振)
同じ場所をぐるぐる回る(旋回)
まっすぐ歩けない、転ぶ、立てない

原因はさまざまで、耳の奥にある内耳の炎症などによる末梢性前庭疾患の場合もあれば、脳幹や小脳の腫瘍、炎症、梗塞などによる中枢性の場合もあります。また、高齢犬では、はっきりした原因が特定できない特発性前庭疾患も多く見られます。

このように、前庭疾患は「同じ症状に見えても原因が異なる」病気です。そのため、治療への反応や再発のしやすさ、その後の経過にも違いが出ます。

前庭疾患についてより詳しく知りたい方はこちら
眼振についてより詳しく知りたい方はこちら

 

「治った」と感じても…再発が疑われる理由

愛犬が再びまっすぐ歩けるようになると、飼い主様としては「もう治った」と感じることが多いと思います。
しかし実際には、症状が目立たなくなっただけで、原因となる病気や前庭機能の異常がまだ完全には落ち着いていないこともあります

前庭疾患は、急に完全に元どおりになるというより、少しずつ段階的に改善していくことが多い病気です。その途中で、一時的によくなったように見えても、まだ不安定な状態が残っていることがあります。

また、原因によっては、同じような症状が再び現れることもあります
そのため「再発したかどうか」をゼロかイチで捉えるのではなく、症状の頻度・強さ・持続時間の変化を含めて観察することが大切です。

 

再発と新たな異変を見分けるポイント

前庭疾患が再発したのか、それとも別の新しい異常なのかを見分けることは、治療方針を決めるうえでとても重要です。
ご家庭では、次のような点に注目してみてください。

・首の傾きや眼振、旋回など、前庭症状の頻度や強さ
・意識がはっきりしているか
・手足の麻痺や力の入りにくさがないか
・元気や食欲など、全身状態に変化がないか

たとえば、前回と似たようなふらつきがあっても、今回は食欲が大きく落ちている、反応が鈍い、麻痺が見られるといった場合は、単純な再発ではなく別の病気が関わっている可能性もあります。

症状だけを見て判断するのは難しいため「また同じ症状かな」と思ったときこそ、かかりつけ医に相談することが大切です。

 

再発リスクを高める背景因子

次のような要素がある場合は、再発のリスクが高くなることを意識しておく必要があります。

高齢犬である
脳や内耳の異常、腎臓病や心疾患などの持病がある
外傷、中毒、一部の薬剤など、神経に負担をかける要因がある
強い暑さや寒さ、脱水など、体に負担がかかる環境にある

特に高齢犬では、特発性前庭疾患がみられることがあり、症状が落ち着いたあとも注意深く経過を見る必要があります。

 

再受診のタイミング

「どのタイミングで再受診したらいいのかわからない」と迷われる飼い主様も多いと思います。
前庭疾患では、様子を見すぎることで病気の進行を見逃してしまうこともあるため、次のようなサインがあれば再受診を検討しましょう。

症状が24時間以上続いている
以前と違う異変が見られる
食欲がなく、ぐったりして動かない
眼振やふらつきが悪化している
初回よりも重い症状が出ている
指示どおりに薬を使っているのに改善しない

特に、意識がぼんやりしている、何度も転ぶ、起き上がれないといった様子がある場合は、早めの受診が必要です。

 

動物病院で行う診察と検査

前庭疾患の再発が疑われる場合、当院ではこれまでの経過と今回の症状を比較しながら、慎重に状態を確認していきます。

・問診
いつから症状が出たのか、どのような動きが見られるのか、前回との違いはあるかなどを伺います。

・神経学的検査
姿勢反応や眼振の有無、歩き方などを確認し、病変の部位や重症度を評価します。
神経学的検査の流れについてより詳しく知りたい方はこちら

・画像検査
必要に応じて、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査を行い、耳や脳の異常がないかを詳しく調べます。
MRI・CT検査でわかることについてより詳しく知りたい方はこちら

・血液検査
炎症、感染、代謝異常、脱水の有無などを確認し、全身状態を把握します。

これらの検査によって、本当に前庭疾患が再発しているのか、別の病気が隠れていないか、現在の治療内容が適切かどうかを総合的に判断します。

 

改善後のケアと予防的な考え方

治療中だけでなく、症状が落ち着いたあとも、ご家庭での過ごし方はとても大切です。

・刺激の少ない環境を整える
大きな音や急な動きの多い環境は負担になることがあります。静かに休めるスペースを用意してあげましょう。

・水分・栄養管理を意識する
体調が不安定なときは、水分や栄養が不足しやすくなります。特にシニア犬では、いつでも水が飲める環境づくりが重要です。

・転倒しにくい室内環境にする
フローリングで滑ると、ふらつきが悪化したり、けがにつながったりすることがあります。マットなどで足元を安定させる工夫も有効です。

・定期的に神経学的な評価を受ける
症状が落ち着いていても、定期的なチェックによって小さな変化に早く気づけることがあります。

 

まとめ

前庭疾患と診断され、治療を進めているのになかなかよくならない、あるいはまた同じような症状が現れて困っている飼い主様もいらっしゃるかもしれません。長期にわたって愛犬のQOLを維持するためには「今、何が起きているのか」を正しく把握することが重要です。

再発かもしれないと感じたとき、不安なことがあるときは、早めにご相談ください。とがさき動物病院では神経疾患の診断・治療に力を入れており、万全の体制を整えています。

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
前庭疾患の再発について気になることがあれば、当院へご相談ください。

<参考文献>
Current definition, diagnosis, and treatment of canine and feline idiopathic vestibular syndrome – PMC

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-05-24

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