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犬の椎間板ヘルニア手術後の回復プロセスとケア方法について

2024/09/17

犬の椎間板ヘルニアの治療には内科療法と手術がありますが、手術ではその後の管理が非常に重要になります。手術後の歩行機能の回復を早めるためには、積極的なリハビリを重ねていく必要があります。あわせて、病気の再発にも気を配らなければいけません。

今回は、犬の椎間板ヘルニア手術後の回復プロセスとケア方法について、時系列に沿ってご紹介します。

■目次
1.手術直後の管理(術後0~3日目)
2.早期回復期の管理(術後4日目~2週間)
3.後期回復期の管理(術後2週間~1か月)
4.長期的な管理と注意点
5.まとめ

 

手術直後の管理(術後0~3日目)

この時期は入院下で痛み止めを使いながら歩行機能を含めた全身状態を確認します。

痛みが強い場合や手術のストレスが大きい場合には、無理に体を動かすことはせず静かに安静を保ちます寝たきりで動けない場合は、褥瘡を防ぐために体圧を分散できる低反発マットレスを敷き、定期的な体位変換を行います

体を動かせずに排尿・排便がうまくできない場合はカテーテルを用いて導尿したり、こまめにシーツを交換して皮膚が汚れたままにならないようにします。

傷口はまだ十分にふさがっていないので、周囲を清潔に保ち、感染予防に努めます。場合によってはエリザベスカラーを装着します。

 

早期回復期の管理(術後4日目~2週間)

痛みやストレスが和らぎ動けるようになってきた場合には、積極的に運動量を増やしていきます。その後、様子をみながら、手や足先の刺激、屈伸運動、立位の保持、歩行訓練などのリハビリをご自宅で行って頂きます

水分は十分に摂ってもらう必要がありますが、食べすぎによる肥満を防ぐため、食事量はきちんと管理しましょう。

あわせて、服用している薬の副作用(特に下痢などの消化器症状)が現れていないか、よく観察しましょう。

ご家庭でのケアと並行して、定期的に動物病院を受診し、獣医師による診察を受けることも大切です。

 

後期回復期の管理(術後2週間~1か月)

抜糸完了後も歩行機能の回復がみられない場合には、ご自宅でのリハビリを継続しつつ、水中トレッドミルなどのより本格的なリハビリを検討します。

さらに早期回復期と同様に、食事量を管理して体重が増えすぎないように注意します。満腹感を得やすいフードも効果的です。

加えて、首輪ではなくハーネスをつける、足裏の毛をカットする、床に滑り止めマットを敷く、段差にスロープを設置するなど、首や足腰に負担をかけないように生活スペースを整備することもポイントになります。

 

長期的な管理と注意点

術後、たとえ歩けるようになったとしても、定期的な検診は欠かせません。椎間板ヘルニアは手術が成功しても再発する可能性があるため、そのような場合になるべく早く発見する必要があるからです。

再発のサインとして、以下のような様子がみられます。

お散歩に行きたがらない
段差の昇り降りを嫌がる
ふらつく
頭を上げようとしない
びっこを引く

このような様子がみられたら、早急に動物病院を受診しましょう。治療が遅れると、その後の生活や運動機能にも影響する可能性があります。

 

まとめ

犬の椎間板ヘルニアの手術後は、時期に応じた適切な管理が重要です。運動機能の回復には、ご家族によるケアが欠かせないことは言うまでもありません。また、再発を早期に発見するためには定期的な受診が必要です。当院では、以下のような術後管理を実施して愛犬の健康的な生活を取り戻すためのサポートをしています。

〈麻痺が軽い場合〉
術後は比較的早期に歩行機能が回復するケースが多いため、抜糸が終わるまでは週1回程度、歩行が可能になってからもしばらくの間は月1回程度の来院をお願いしています。ただし、あくまでも目安ですので、犬の状態にあわせて柔軟に対応しています。

〈麻痺が重い場合〉
褥瘡予防や排尿管理の指導、リハビリをしっかり行う必要があるため、麻痺の状態にあわせて1~2週に1回ほどの来院をお願いしています

 

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