犬の椎間板ヘルニア手術後の適切な運動量とは?
2024/09/10
犬の椎間板ヘルニアの手術後には、適切な運動量の確保が必要です。神経機能の回復段階にあわせた運動を行うことにより、運動機能の回復がよりスムーズになります。手術によって神経を圧迫している原因物質を除去できているので、早い段階でリハビリに入ることが推奨されます。
今回は、犬の椎間板ヘルニア手術後のリハビリの進め方について、時系列に沿ってご紹介します。
■目次
1.段階的な運動再開
2.回復期の運動量増加
3.長期的な運動管理
4.適切な運動の種類と方法
5.運動時の注意点
6.まとめ
段階的な運動再開
術後の運動再開は、麻痺の状態に応じて段階的に行います。
〈麻痺が重度の場合〉
後ろ足の運動機能が大きく低下しているため、軽いリハビリから始めます。
具体的には、マッサージによる足の刺激、起立運動、サイクルトレーニング(自転車こぎ運動)、屈伸運動などが挙げられます。ある程度改善がみられた場合は、水中歩行療法の実施も検討します。
〈麻痺が重度ではない場合〉
手術による痛みが癒えたら、徐々に自分で歩くようになります。室内にて自由に動き回ることが非常に良いリハビリになりますので、積極的に動かすようにします。また、問題がなければ短時間のお散歩を始めます。この際、足を引きずらないように注意しましょう。リードをうまく使い、犬の歩くスピードをコントロールしながら歩行することが重要です。
回復期の運動量増加
回復期には、手術直後よりも運動を強め、お散歩の時間や距離を段階的に延ばします。軽い遊びを取り入れてもよいですが、激しい運動やジャンプなどは椎間板に負担をかけるため控えましょう。
長期的な運動管理
椎間板ヘルニアは手術が成功しても再発する可能性があるため、長期的な運動管理が必要です。特に、階段の上り下りやジャンプなどの上下運動は椎間板に負担がかかるので、注意しましょう。
また、定期的に動物病院を受診していただき、獣医師が健康状態を継続的にチェックすることも重要です。筋肉の量やリハビリの進行具合に応じて、その時々に最適な運動を提案させていただきます。
適切な運動の種類と方法
リハビリにはさまざまな種類や方法があり、犬の体調に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。
・マッサージによる刺激
・起立運動
・屈伸運動
・サイクルトレーニング
・トレッドミルトレーニング
・水中歩行療法
・バランスボールを使用したエクササイズ
他にも、患部への負担が少ない遊びを取り入れることも効果的です。具体的には、ゴム製の知育玩具など、犬が伏せた状態でじっくり遊べるものがおすすめです。
運動時の注意点
適度な運動はリハビリにおいて非常に重要ですが、過度な運動は再発のリスクを高めるため、注意が必要です。お散歩に行く際は、体への負担を避けるため、雨の日や高温多湿の日、低温の日は避けることも必要です。
また、普段の生活で、犬が動きたがらない、散歩を嫌がる、背中や首に触られることを嫌がるといった痛みや不快感のサインが見られる場合は、再発の可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアの手術後は、激しい運動は制限しつつ、段階的に運動を開始し、徐々に運動機能を高めていくことが重要になります。リハビリの方法は麻痺の状態や回復の程度によって異なるため、個々の犬にあわせた細やかな対応が求められます。最適なリハビリを実現するためには、定期的に動物病院を受診し、ご家庭での様子や各種検査結果を考慮しながら、どの程度回復しているのかを見極めることがポイントとなります。
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当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
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