犬の椎間板ヘルニア、手術は本当に必要?迷ったときの判断基準とタイミング
2026/06/29
〈この記事でわかること〉
「椎間板ヘルニアと言われたけれど、手術した方がいいの?」
「できれば手術は避けたい…」
愛犬が椎間板ヘルニアと診断されると、飼い主様は大きな不安を感じると思います。
椎間板ヘルニアは、必ず手術が必要な病気ではありません。症状の重さや神経の状態によって、安静や投薬による内科治療で経過を見る場合もあれば、早期に手術を検討した方がよい場合もあります。
特に、次のような症状がある場合は、手術を含めた早めの治療判断が重要です。
・自力で立てない、歩けない
・麻痺が急に進んでいる
・強い痛みが続いている
・排尿や排便がうまくできない
今回は、犬の椎間板ヘルニアで手術を検討する目安や、内科治療を選択するケース、判断のタイミングについて解説します。

■目次
1.犬の椎間板ヘルニアとは?
2.手術が検討される目安
3.手術しない治療(内科治療)が選択されるケース
4.とがさき動物病院での診断の流れ
5.セカンドオピニオン・転院を考えている方へ
6.まとめ
犬の椎間板ヘルニアとは?
椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある「椎間板」というクッションの一部が変形して飛び出し、脊髄や神経を圧迫する病気です。
神経が圧迫されると、激しい痛みやふらつき、足の麻痺などが起こります。特にミニチュアダックスフンド、ウェルシュコーギー、フレンチブルドッグなどの「軟骨異栄養性犬種」に多く見られますが、どの犬種でも年齢を問わず起こる可能性があります。
主な初期症状・サインには、次のようなものがあります。
・背中や首を丸めて痛がる
・抱っこをするとキャンと鳴く、嫌がる
・段差の上り下りを避ける
・後ろ足がふらつく、交差する
・足の甲を地面にこするようにして引きずる
・自力で立てない、歩けない
・排尿や排便のコントロールがうまくできない(失禁・便秘など)
椎間板ヘルニアについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
手術が検討される目安
椎間板ヘルニアの治療方針は、神経の障害がどの程度進んでいるか(重症度グレード)によって大きく変わります。
特に「自力で歩けるか」「麻痺が進行性か」「痛みの強さ」は重要な判断材料です。
| 状態 | 手術を検討する目安・理由 |
|---|---|
| 自力で立てない・歩けない | 神経への圧迫が非常に強い可能性があり、早期の外科的減圧が必要です |
| 麻痺が急速に進行している | 時間の経過とともに神経が不可逆的なダメージを受け、回復が難しくなる恐れがあります。 |
| 激しい痛みが改善しない | 内科治療(鎮痛薬など)だけでは痛みを十分にコントロールできない場合があります。 |
| 内科治療を続けても回復が乏しい | 保存療法での限界が考えられるため、治療方針の見直しが必要です。 |
| 排尿・排便に異常がある | 完全に麻痺が進行しているサイン(グレード5など)の可能性があり、一刻を争うケースがあります。 |
重度の神経症状がある場合は、脊髄への圧迫を取り除く「外科手術」が第一選択となります。手術の目的は、飛び出した椎間板物質を取り除いて神経の圧迫(減圧)を行い、神経の回復を助けることです。
ただし「この症状があるから必ず手術」というわけではありません。
神経学的検査や画像検査を行い、その子の状態に合わせて判断することが大切です。
▼椎間板ヘルニアの詳しい手術方法についてはこちらをご覧ください▼
犬の頸部椎間板ヘルニアの手術法について
犬の胸腰部椎間板ヘルニアの手術方法について
手術しない治療(内科治療)が選択されるケース
椎間板ヘルニアでも、すべての犬に手術が必要になるわけではありません。
内科治療が検討される主なケースは、次の通りです。
・痛みのみで歩行できている
・ふらつきが軽度で、悪化傾向が見られない
・安静と投薬で改善が期待できる
・高齢や持病などにより、手術リスクが高い
〈内科治療を行う上でのリスクと注意点〉
ここで大切なのは「手術をしない=何もしない」ではないということです。
内科治療の基本は、痛みの管理と「ケージレスト(ハウス内での絶対安静)」です。自己判断で散歩を再開したり、室内で自由に動かしたりすると、症状が悪化することがあります。
また、内科治療で一度症状が落ち着いたように見えても、段差の上り下りやジャンプなど、日常生活の中で腰や背中に負担がかかることで再発することがあります。
重要なのは「今の状態が内科治療で見てよい段階なのか」「手術を検討すべき段階なのか」を適切に見極めることです。
椎間板ヘルニアの内科療法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
とがさき動物病院での診断の流れ
当院では、犬や猫の神経疾患および整形外科疾患の診療に対応しています。飼い主様のご事情や不安を伺いながら、検査結果に基づいた客観的な選択肢をご提示し、治療方針を一緒に考えていきます。
1. 神経学的検査と画像診断
まずは「歩き方」「痛みの部位」「麻痺の有無」「神経反射」「排尿状態」などを確認し、神経障害のグレードを評価します。
原因や病変の部位を特定するため、血液検査のほか、必要に応じて画像検査を行います。当院にはCT検査機器が完備されており、骨や脊椎の構造的な異常を確認することが可能です。なお、より詳細な脊髄神経の評価(MRI検査)が必要な場合は、提携している外部の検査センターをご紹介し、スムーズに検査を受けられるよう手配いたします。
MRI・CT検査について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
2. 状態に合わせた治療プランの提示
検査結果に基づき、その子の状態(重症度や年齢、持病の有無など)に合わせて、以下のような選択肢から適切なプランを検討します。
・外科手術(脊髄の圧迫を取り除く減圧術)
・内科治療(消炎鎮痛剤などの投薬)
・安静管理(ケージレストの具体的な指導)
・生活環境の見直し(滑らない床、段差の解消など)
・リハビリテーション
3. 術後の管理とリハビリ
椎間板ヘルニアは、手術を行えばすぐに元通りに歩けるようになるわけではありません。神経の回復には時間がかかるため、術後の適切な安静と段階的なリハビリが不可欠です。
当院では、低下した筋力の維持や関節の可動域サポートなど、その子のペースに合わせたプログラムを提案しています。自己流での無理なマッサージや訓練は、かえって痛みを誘発したり再発を招いたりすることがあるため、必ず獣医師の指導のもとで行うことが大切です。
リハビリについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください
セカンドオピニオン・転院を考えている方へ
「かかりつけ医で手術をすすめられたけれど、本当に必要なのか悩んでいる」
「今の内科治療を続けていて良いのか、悪化しないか不安」
大切な家族のことですから、このように悩まれるのは当然のことです。
当院では、他院で治療中の場合でも、これまでの経過や現在の症状、検査結果をもとに、セカンドオピニオンとして今後の選択肢を整理・ご提案することが可能です。
迷っている数日間のうちに症状が進行してしまうケースもあるため、少しでも不安がある場合は、どうぞ遠慮なくお早めにご相談ください。
まとめ
犬の椎間板ヘルニアは「手術をするか、しないか」という選択だけでなく、「今の状態が内科治療で維持できる段階なのか、手遅れになる前に手術へ踏み切るべきなのか」を適切に見極めることが最も重要です。
その子にとって最適な治療は、症状の重さや神経の状態、全身状態によって異なります。
当院では、神経学的検査や画像検査をもとに、手術・内科治療・リハビリなどの選択肢を整理し、飼い主様と一緒に治療方針を考えていきます。
愛犬の椎間板ヘルニアで治療に迷っている方は、まずは一度当院へご相談ください。
◼︎関連記事
【獣医師監修】愛犬の椎間板ヘルニア – 見逃しやすい初期サイン10選と対処法
当院では2026年6月現在、全国で25名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
椎間板ヘルニアについて気になることがあれば、当院へご相談ください。
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
とがさき動物病院
監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-06-29
« 前の情報を読む
次の情報を読む »
» 最新情報一覧
