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【獣医師監修】フレンチ・ブルドッグの後ろ足の痺れは要注意!椎間板ヘルニアの可能性と対処法

2025/01/10

フレンチ・ブルドッグは、その愛らしい見た目と穏やかな性格で日本でも人気の犬種ですが、椎間板ヘルニアを発症しやすいことが知られています。この病気ではさまざまな症状が現れますが、特に後ろ足の痺れは見逃してはいけない重要なサインです。そのため、歩き方に違和感を覚えた場合は、早めに動物病院を受診する必要があります。
今回はフレンチ・ブルドッグを飼っている飼い主様に向けて、椎間板ヘルニアの特徴や進行状況に応じた症状、診断方法、治療法、さらに予防策について詳しく解説します。
犬の椎間板ヘルニアについて詳しくはこちらをご覧ください

■目次
1.フレンチ・ブルドッグに起こる椎間板ヘルニアの特徴
2.後ろ足の痺れ:見逃してはいけない初期サイン
3.要注意! 椎間板ヘルニアの進行度合いと症状
4.動物病院での診断と治療について
5.自宅でできる対策
6.日常生活での観察ポイント
7.まとめ

 

フレンチ・ブルドッグに起こる椎間板ヘルニアの特徴

フレンチ・ブルドッグは軟骨異栄養犬種の一種で、ミニチュア・ダックスフンドなどと同じく、遺伝的に椎間板ヘルニアを発症しやすいとされています。ミニチュア・ダックスフンドとくらべて、フレンチ・ブルドッグに起こる椎間板ヘルニアでは次のような特徴があるといわれています。

より尻尾に近い位置で発症しやすい
より若い年齢で発症しやすい
重度の場合は脊髄軟化症という致死性の病気に移行するリスクが高い

 

後ろ足の痺れ:見逃してはいけない初期サイン

健康な犬では前後左右の足がリズミカルに動き、歩行中の身体のブレは最小限です。しかし、椎間板ヘルニアによって後ろ足に痺れを感じると、以下のような変化が現れます。

後ろ足を引きずる
よろめく
足の運びが不自然

痺れが強くなければこうした変化はあっても、立ったり座ったりすることは可能です。ですが、病気が進行して痺れが強くなると足に力が入らなくなり、歩行が困難になります。この状態は緊急性が高いため、直ちに動物病院を受診してください。

また、痺れとは別に、背中や腰を痛がる、キャンと鳴くといった症状が現れるときもあります。歩き方は正常なのにこうした様子がみられるときは、初期の椎間板ヘルニアの可能性があります。

 

要注意! 椎間板ヘルニアの進行度合いと症状

椎間板ヘルニアはその進行度合いによって、次のように症状が変化します。

〈初期(軽度)〉
痛みはあっても痺れはなく、普段通り立ったり歩いたりすることができます。痛みを覚え、背中に触られることを嫌がる犬もいます。また、徐々に歩き方に変化が現れ始めます。

〈中程度〉
痺れが強くなり、歩き方の異常が顕著にみられたり、歩けなくなったりします。お散歩を嫌がったり、普段は飛び越えていた段差につまずくようになったりします。

〈重度〉
完全に寝たきり状態になり、排尿も自力でできなくなります。治療が遅れると麻痺が残り、その後の生活にも影響するので、早めの対応が肝心です。

これらの症状がみられたら、その重症度がどの程度であれ、まずは動物病院を受診して検査を実施することが大切です。初期のうちに発見できれば治療の選択肢が増え、その後のQOL(生活の質)を維持できる可能性が高くなります。

 

動物病院での診断と治療について

動物病院では、飼い主様からご家庭での様子をうかがうとともに、歩き方を観察し、どこに異常がありそうなのか予測します。その後、神経学的検査や画像診断(X線、CT、MRI)を実施して、病変の正確な場所を特定します。

初期の場合は、ご家庭での安静とともに、痛みを抑えるための鎮痛剤が処方されます。この場合、約4週間以上、運動を制限する必要があります。一方で、内科的治療で改善が見られない場合や症状が中程度以上に進行している場合には、外科的治療が検討されます。手術後は数日で歩けるようになることもあります。ただし、どちらもその後のリハビリテーションがとても重要で、うまく歩けるようになるためには、順序を守って徐々に運動量を増やしていく必要があります。

椎間板ヘルニアの内科療法について詳しくはこちらをご覧ください

 

自宅でできる対策

次のような対策が椎間板ヘルニアの予防につながるので、ぜひご家庭でお試しください。

適度な運動
広い場所で走り回るのではなく、リードでつないでゆっくりと歩きましょう。

生活環境の整備
段差にはスロープをつける、滑りやすい床にはマットを敷く、寝床に低反発マットレスを使うといったことも負担軽減に役立ちます。

体重管理
定期的に体重を測る、規定量のフードを与える、おやつをあげすぎないなどの対策で太らせないようにしましょう。

サプリメントの利用
モエギイガイやオメガ3脂肪酸などの成分を含む製品を活用して、関節の健康維持をサポートするサプリメントを使ってみましょう。

 

日常生活での観察ポイント

愛犬の異変にすぐ気づくためには、次のようなポイントを日頃からチェックするとよいでしょう。

・ふらつきはないか、お散歩には行きたがるか、段差につまずくことはないか
・触ると「ウー!」と怒ることはないか
・食事は完食しているか、寝床に寝たきりになっていないか

異変を感じたら、その様子を動画などに撮ってからご来院していただくと、診断にとても役立ちます。また、こうしたご家庭でのチェックとあわせて、定期的に獣医師による検査を受けることも重要です。飼い主様が気づきにくい異常も、検査で早期に発見できる可能性があります。

 

まとめ

フレンチ・ブルドッグは、椎間板ヘルニアのリスクが高い犬種です。早期発見と治療が愛犬の健康を守る鍵となります。普段から注意深く観察し、少しでも気になる点があれば、ぜひ動物病院にご相談ください。椎間板ヘルニアは早期対応によって、愛犬のQOL(生活の質)を大きく向上させることができます。

ご不安な点などあれば、お気軽に当院までご相談ください。

 

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
椎間板ヘルニアのことでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
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<参考文献>
A Comparison of Thoracolumbar Intervertebral Disc Extrusion in French Bulldogs and Dachshunds and Association With Congenital Vertebral Anomalies – Aikawa – 2014 – Veterinary Surgery – Wiley Online Library

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