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【獣医師監修】愛犬の発作・けいれんが起きた! その場でできる対応と受診のタイミング

2025/05/10

愛犬が突然、発作やけいれんを起こすと、大切な家族だからこそ「どうしたらいいの?」と動揺してしまいますよね。特に意識を失ってしまうような発作の場合、「また起きたらどうしよう…」と不安を感じる飼い主様も多くいらっしゃいます。実は、犬の発作やけいれんは決して珍しいものではなく、適切な対応や治療を行うことでうまくコントロールできることが多いのです。

今回は、犬の発作やけいれんの原因や症状、応急対応の方法、受診の判断基準などもあわせてご紹介します。まずは冷静に対応して動物病院を受診し、原因に沿った治療を続けることで、再発しないように努めることがポイントになります。

■目次
1.犬の発作・けいれんはどんな症状?
2.発作が起きたときの応急対応
3.発作を起こす主な原因と危険性
4.すぐに病院を受診すべき危険なサイン
5.動物病院での診察・検査について
6.まとめ:発作の再発に備えるために

 

犬の発作・けいれんはどんな症状?

犬の発作やけいれんの原因として、もっとも多いのが「てんかん」と呼ばれる病気です。てんかんは、異常な脳神経の興奮によって引き起こされる発作(てんかん発作)が24時間以上あけて2回以上認められる病気と定義されています。発作の程度によって「部分発作」と「全般発作」に分けられ、症状も異なります。

てんかんについてはこちらをご覧ください

◾️部分発作
脳の一部が興奮して起こる

手足がピクピクと動く
瞳孔が開く
落ち着きがない

◾️全般発作
脳の広い範囲が興奮して起こる発作で、部分発作よりも強い症状がみられる

手足が伸びきって硬直する
意識を失う
力が抜けて立てなくなる

発作中は意識を失っていることが多く、発作後には放心状態や攻撃的な行動が一時的に見られることもあります。さらに、発作やけいれんの前には、「前駆症状」と呼ばれるサインが出ることがあり、そわそわと落ち着きがなくなったり、性格が変化したり、ハエを噛むように口を動かす(ハエ噛み行動)などの行動が見られる場合があります。

〈飼い主様が間違えやすい例〉

飼い主様が「けいれんかも?」と間違えやすいのが、愛犬が夢を見ているときに手足や口元がピクピク動く現象です。これは「レム睡眠」(浅い眠り)のときに起こる生理的な動きで、発作とは異なります。

 

発作が起きたときの応急対応

発作中は愛犬の意識がない場合がほとんどなので、まずは飼い主様が落ち着いて行動することがとても大切です。

1.安全の確保
発作やけいれんを起こしている最中の愛犬は、自分で周囲の物を避けることができません。家具や固い物など、ぶつかってケガをしそうなものはできるだけ取り除き、なるべく広いスペースを確保してください。
外出中に発作が起きた場合は、車の往来が少なく人通りも少ない場所へ静かに移動させて見守りましょう。

無理に抱きかかえて刺激を与えすぎないように注意することもポイントです。

2.観察・記録する
発作の様子は、診断で非常に重要な手がかりとなります。愛犬の苦しむ姿を撮るのは心苦しいかもしれませんが、可能であればスマートフォンなどで動画や写真を残しておくことをおすすめします。

・どんな動きがどれくらい続いたか
・発作のあと、どのような状態だったか
・意識が戻るまでにかかった時間

これらをメモしておくだけでも、受診時の説明がスムーズになります。

〈やってはいけないこと〉

発作中の愛犬に強い刺激を与えるのは避けましょう。たとえば、大声で呼びかけたり、身体を激しく揺すったりすると、脳の興奮を強めてしまう可能性があります。口の中に手を入れることも、大変危険です。気道確保の必要はほとんどありませんし、反射的に噛まれてケガをするリスクがあるため、絶対におやめください。

 

発作を起こす主な原因と危険性

先ほど、発作やけいれんは「てんかん」によるものが多い、とお話しましたが、それ以外の病気や異常が原因になることもあります。また、てんかんにもさまざまな種類があり、原因が特定できるものと特定できないものがあります。

〈てんかん〉

・特発性てんかん:原因がよくわからないもの
・構造的(症候性)てんかん:脳腫瘍や脳炎など、原因がわかるもの

脳の腫瘍についてはこちらをご覧ください
脳炎についてはこちらをご覧ください

犬では特に特発性てんかんが多く、ラブラドール・レトリーバーやボクサーなどは発症リスクが高いといわれています。また、特発性てんかんの多くが若いころに発症することも特徴的ですが、成犬になって初めて症状がみられるケースもあります。

〈てんかん以外〉

中毒
低血糖
熱性けいれん など

 

すぐに病院を受診すべき危険なサイン

犬の発作は多くの場合、1~2分ほどで自然に治まることがほとんどです。しかし、以下のような状態になった場合は、命にかかわる可能性が高いため、ただちに動物病院へ連絡し、応急処置を含めた指示を仰ぎましょう。

発作(けいれん)が5分以上続いている
1日に複数回の発作が立て続けに起きている

脳や全身へのダメージが大きくなる危険があるため、飼い主様だけでの対処は避け、動物病院に迅速に相談してください。夜間や休日であれば、夜間救急に対応する動物病院に相談しましょう。発作やけいれん以外にも緊急対応が必要な病気はあるので、犬を迎えたらご自宅の周りに夜間救急対応をしている動物病院がないか、事前に調べておくことも大切です。

 

動物病院での診察・検査について

診察時には発作やけいれんが起こったときの様子をお聞きし、発作の原因が何なのか、そもそも発作だったのかを判断します。その後、血液検査や画像検査(CTやMRI)、脳波検査などを行って原因を特定していきます。これらの検査結果に基づいて、獣医師が原因を特定し、治療方針を検討します。

原因となる病気が特定された場合(脳腫瘍・脳炎など)は、その病気に対する治療が中心となり、必要に応じて抗てんかん薬を使用します。
原因がわからない場合(特発性てんかんなど)は、抗てんかん薬による発作コントロールがメインとなり、長期間・もしくは生涯にわたって投薬が必要になるケースもあります。

 

まとめ:発作の再発に備えるために

犬の発作やけいれんは、いつ起こるか分からないため、飼い主様が応急対応や受診のタイミングをあらかじめ把握しておくことが非常に大切です。特に重い発作の場合、早めの対応が愛犬の命を救うことにもつながります。
また、日頃から発作の起きた日時・時間・症状を記録し、かかりつけ医と情報を共有すると、再発防止や発作のコントロールに役立ちます。投薬が必要な場合は指示どおりのペースで継続し、経過をこまめに報告することが重要です。

愛犬に何か異常があったとき、飼い主様が慌てず落ち着いて対処できることが、愛犬の安全と健康を守るうえで欠かせません。

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
発作やけいれんのことでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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