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犬と猫の脊髄腫瘍について|足や背中を痛がる症状が見られたら注意

2023/09/07

脊髄腫瘍はその名の通り脊髄にできる腫瘍です。比較的発生はまれですが、いつもより動かない、足や背中を痛がるといった飼い主さんがヘルニアを疑い来院され、結果的に脊髄腫瘍だった、というケースがあります。また発生する場所によって様々な種類があり、リンパ腫や神経鞘腫などがよく知られています。
治療には放射線治療や手術が必要ですが、この腫瘍は高齢になってから発生することが多いため、治療すべきかどうか悩まれる飼い主さんも多いかと思います。今回は犬や猫の脊髄腫瘍について、典型的な症状や当院での治療方針などを解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

◼︎原因

動物の背骨には脊髄と呼ばれる神経の束が通っており、その周りは髄膜(軟膜、くも膜、硬膜)に覆われ、保護されています。
脊髄腫瘍は、脊髄そのもの(髄内)、髄膜のスペース(硬膜内髄外)、あるいは硬膜の外(硬膜外)にできる腫瘍を指します。またその原因によって、原発性と転移性に分けられます。

原発性の脊髄腫瘍には、硬膜外の骨肉腫や線維肉腫、くも膜下腔内の髄膜腫や神経鞘腫、まれですが髄内の上衣腫や神経膠腫などが挙げられます。さらに、全身性の腫瘍(リンパ腫や悪性黒色腫など)が転移して発生することもあります。いずれも発生原因はよくわかっていませんが、高齢の犬や猫に多く認められます

◼︎症状

腫瘍によって脊髄が圧迫されることで、痛みや運動機能の異常をきたします
初期には、足や背中を痛がる、うまく歩けなくなる、お散歩に行きたがらなくなる、といった様子が見られます。
重症化すると、四肢の麻痺によって全く立てなくなる場合もあります。そのため、早期発見・早期治療がとても大切です。

◼︎診断

脊髄腫瘍ではなく、ヘルニアや内臓の病気、骨折などが原因となっている可能性もあるので、慎重に検査を進めていきます。
このような神経の病気では、神経学的検査と呼ばれるものを実施します。その中には、意識状態や行動・姿勢・歩様の観察、骨や筋肉・関節の触診、姿勢反応や脊髄反射の評価などが含まれます。この検査では、特殊な装置を使うことも、動物に傷をつけることもなく、症状が脊髄の異常からくるものなのか、脊髄の中でもどの部分が障害を受けているのか、予測できます。

その後、脊髄の病気が疑われれば、X線検査やCT、MRI検査などの画像検査を実施します。
当院の設備についてはこちらをご覧ください

◼︎治療

当院では主に、手術あるいは放射線治療をお勧めしています。特に原発性の硬膜外腫瘍では手術が効果的ですが、腫瘍切除後に脊椎の固定が必要になるケースもあります。腫瘍の完全切除が難しい場合や手術のリスクが高い場合などには放射線治療を選択することもあります。

また、腫瘍の種類によっては、化学療法(抗がん剤治療)を利用できる場合もあります。ただし、動物の健康状態によって治療方針は異なるので、獣医師とよくご相談のうえご検討ください。

これらの治療法はいずれも専門の知識が必要ですが、当院では外科を専門とする獣医師が所属し、数多くの症例を経験しているため、愛犬や愛猫の状態にあわせたご提案が可能です。

◼︎予防法やご家庭での注意点

詳しい原因がわからないため、具体的な予防法はありません。愛犬や愛猫が高齢になり、足元がおぼつかない、足を痛がる、といった様子がみられたら、年齢のせいと思わずに当院までお気軽にご相談ください。早期治療につながり、その後の生活を豊かに過ごせるかもしれません

◼︎まとめ

脊髄腫瘍は頻繁に遭遇する病気ではありませんが、高齢の犬や猫がご家族にいる場合は、普段の歩き方や行動に注目してみるとよいでしょう。気になる点があれば、動物病院へお早めに受診されることをお勧めします。

当院では2022年11月現在、全国で14名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
脊髄腫瘍について気になることがあれば、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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