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犬のフィラリア症について│手術については当院までご相談ください

2023/09/07

犬の代表的な感染症の1つに、フィラリア症(犬糸状虫症)が挙げられます。フィラリア症とは、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫が感染することで引き起こされる病気で、一度かかってしまうと治療が難しいため、予防が重要視されています。
重症化すると命の危険もありますが、当院では専用の機器を用いた手術を得意としているため、他院で治療が困難な場合でも、大切な命を救うお手伝いができるかもしれません。
今回は、犬のフィラリア症について原因や症状を紹介したうえで、当院での治療法を解説します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法
6.ご家庭での注意点
7.まとめ

■原因

フィラリア症は、蚊によって媒介されるフィラリアが寄生することで、血液の循環障害を起こす病気です。
フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の吸血によって犬の血液中に入ると、犬の体内を移動しながら成虫へと成長し、肺の血管(肺動脈)や心臓(右心房や三尖弁)に寄生して、血流に影響を及ぼします

幼虫であれば後述の予防薬で駆除できますが、ひとたび成虫になってしまうと内服薬だけではコントロールできないので、注意が必要です。

■症状

重症度によって程度は異なりますが、主に呼吸器や循環器に関わる症状が現れます。
軽度の場合は無症状のこともありますが、徐々に咳が出る、動きたがらない、呼吸が苦しそう、といった症状がみられます。

特にフィラリア成虫が三尖弁(右心房と右心室をつなぐ弁)の血流に影響し、弁がうまく閉じなくなると、大静脈症候群に陥ってしまいます。症状としては、血色素尿(赤~紅茶色の尿)、ぐったりした様子や力が入らない様子などが見られ、治療せずにいると致死的な状態に至ってしまいます。

■診断

まずは聴診で心臓や肺の音を聞きます。また、血液を採取することでミクロフィラリアがいるかどうかを確かめ、さらにエコーやX線検査を行い、詳しく調べます。

■治療

フィラリア症は成虫の寄生によって症状が現れるため、治療するには、心臓や血管内にいるフィラリア成虫を手術によって摘出する必要があります

これはどの施設でもできるわけではなく、経験豊富な獣医師と専用の機器がそろっていなければいけません。当院では、全身麻酔をかけたうえで、フレキシブル・アリゲーター鉗子という機器を血管に挿入し、成虫を取り出す療法を行っています(つり出し術)
この方法は、先ほど解説した大静脈症候群のケースでとても有効ですが、当院ではその前の段階(肺動脈に成虫がいる状態)でも実施できるため、より多くの犬に対応可能です
術中は透視X線やエコーを用いて、リアルタイムで心臓と血管の様子を映し出し、すべての成虫を取り出すことを目標とします。成虫が残ってる場合、イベルメクチンやドキシサイクリンを用い、成虫の寿命が来るのを待ちます。

■予防法

フィラリア症は毎年、予防薬を投与することで発症を防げます。感染の有無の検査には抗原検査とミクロフィラリア検査がありますが、前者の方が精度は高いといわれています。

予防薬は一般的に、蚊が発生し始めて1カ月後から、蚊がいなくなった1カ月後まで、月に1回投与し続ける必要があります。また予防薬には、錠剤、チュアブル、スポットオン、注射製剤といった様々なタイプがありますが、それぞれに長所と短所があるため、獣医師までお気軽にお尋ねください。

■ご家庭での注意点

症状がないからといってお薬の投与をやめてしまうと、知らぬ間にフィラリア症を発症してしまう可能性があります。予防薬を処方されたら、決められた投与間隔をしっかりと守り、確実に発症を防ぎましょう

■まとめ

犬のフィラリア症は、発症させないことがとても大切ですが、いざ発症してしまったときにどうすればいいのかを知っておくことも重要です。特に手術ができる動物病院は限られているため、疑わしい症状がみられたら当院までお気軽にご相談ください。

当院では2022年11月現在、全国で14名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
フィラリア症について気になることがあれば、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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<参考文献>
2018-AHS-Canine-Guidelines.pdf (heartwormsociety.org)

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