犬の麻痺は治る?歩けない時に知っておきたい手術・内科治療の違い
2026/06/30
「昨日まで普通に歩いていたのに、急に後ろ足が動かない」
「足を引きずっているけれど、少し様子を見てもいいのかな」
「犬の麻痺は、治る可能性があるのだろうか」
愛犬が急に歩けなくなったり、後ろ足に力が入らなくなったりすると、飼い主様はとても不安になると思います。
犬の麻痺は、原因や重症度、発症から治療までの時間によって、回復の可能性が変わります。軽い段階では内科治療を行うこともありますが、状態によっては早めに手術を検討した方がよいこともあります。
まずは、次の3つを押さえておきましょう。
・歩けていても、神経の圧迫が進んでいることがあります
・歩けない、麻痺が進行している、排尿がうまくできない場合は早めの受診が必要です
・軽い段階では内科治療、進行している場合は手術を検討することがあります
今回は、犬の麻痺が起きたときに考えられる原因、回復の可能性を左右するポイント、内科治療と手術の違いについてご紹介します。

■目次
1.まず確認したい|「麻痺」のサインとは?
2.犬の麻痺で多い原因
3.回復の可能性は何で決まる?|重要なのは“重症度”と“時間”
4.手術と内科治療はどう選ぶ?
5.とがさき動物病院での診断・治療体制
6.まとめ
まず確認したい|「麻痺」のサインとは?
犬の麻痺というと「まったく足が動かない状態」を想像する方も多いかもしれません。ですが、実際には歩き方の変化や痛みとして始まることもあります。
次のような様子がある場合は、神経に異常が起きている可能性があります。
・後ろ足を引きずる
・歩くとふらつく
・立ち上がれない
・足の甲を地面につけるように歩く
・腰が抜けたように座り込む
・排尿や排便がうまくできない
・背中や腰を痛がる
・抱っこや体を触られるのを嫌がる
・段差を嫌がる、ソファや階段に上がれない
注意したいのは「まだ歩けているから軽症」とは限らないことです。見た目には少し歩きにくそうに見える程度でも、神経の圧迫が進んでいる場合があります。
犬の麻痺で多い原因
犬の麻痺は、脳や脊髄、末梢神経、筋肉など、体を動かす仕組みのどこかに異常が起きたときに見られます。
代表的な原因には、次のようなものがあります。
・椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫
・脊髄や神経の炎症
・腫瘍による神経への影響
・交通事故や落下などによる外傷
・脊椎の変形や不安定性
・血流障害による神経のトラブル
急に歩けなくなった場合もあれば、少しずつふらつきが進む場合もあり、痛みの有無によっても疑う原因は異なります。
そのため「麻痺=この病気」と決めつけることはできません。まずは神経学的検査で、どの部分の神経に問題がありそうかを確認し、必要に応じて画像検査を行いながら原因を絞り込んでいきます。
回復の可能性は何で決まる?|重要なのは“重症度”と“時間”
犬の麻痺が回復するかどうかは、原因だけでなく、神経症状の重さと発症からの時間が大きく関わります。
重症度をみるときは、歩けるか、自力で立てるか、足を動かせるか、足の感覚が残っているか、排尿や排便ができるかなどを確認します。たとえば、痛みが中心で歩ける状態と、自力で立てず足の感覚も弱い状態では、緊急度も治療方針も大きく変わります。
椎間板ヘルニアなど一部の脊髄疾患では、症状の重さをグレードで考えることもあります。分類の仕方は病院によって異なりますが、目安としては次のように段階的に評価します。
・痛みはあるが、歩くことはできる
・歩けるが、ふらつきや足のもつれがある
・自力で立ち上がれない
・足は少し動くが、歩くことはできない
・足の感覚がかなり低下している
重症になるほど、神経へのダメージが強い状態と考えられます。特に重度の麻痺では、発症から48時間以内の判断が重要になることがあります。神経への圧迫や障害が長く続くほど、回復に影響する可能性があるためです。
ただし、回復の見込みは一律ではありません。症状の重さ、原因、治療開始までの時間、年齢、全身状態などによって変わります。そのため「必ず歩けるようになる」「手術すれば必ず治る」とは言い切れません。
それでも、早い段階で原因を調べて適切な治療につなげることは、回復を目指すうえでとても大切です。
手術と内科治療はどう選ぶ?
犬の麻痺に対する治療は、大きく内科治療と手術に分けられます。どちらを選ぶかは、症状の重さ、進行の速さ、痛みの程度、画像検査の結果、全身状態などを総合して判断します。
〈内科治療が検討されるケース〉
内科治療が検討されるのは、比較的軽度から中等度で、歩行が可能な場合や痛みが中心の場合です。症状が急速に悪化しておらず、神経の反応が保たれている場合には、内科治療で経過を見ることがあります。
主な内科治療には、次のようなものがあります。
・安静管理
・痛み止め
・炎症を抑える治療
・神経の回復を支える治療
・生活環境の調整
内科治療で特に重要なのは、安静管理です。痛み止めで動けるように見えても、原因がなくなったわけではありません。自己判断で散歩や階段、ジャンプを再開すると、症状が悪化することがあります。
また、内科治療を選んだ場合でも、そのまま様子を見続ければよいとは限りません。歩き方が悪化する、立ち上がれなくなる、足先を引きずる、排尿や排便がうまくできないといった変化がある場合は、治療方針の見直しが必要です。
〈手術が検討されるケース〉
手術が検討されるのは、歩けない、麻痺が進行している、足の感覚が低下している、排尿障害がある、内科治療で改善が見られないといった場合です。こうした状態では、時間がたつほど回復に影響することがあるため、早めの判断が重要になります。
手術の目的は、神経への圧迫や障害の原因を取り除き、神経が回復しやすい状態をつくることです。原因によって手術の内容は異なりますが、画像検査で病変の位置や状態を確認したうえで、外科治療が適しているかを判断します。
「手術=最後の手段」と考えられがちですが、神経の病気では、早い段階で手術を検討したほうがよいケースもあります。
もちろん、手術をすれば必ず歩けるようになるわけではありません。年齢や全身状態、神経のダメージの程度によって結果は異なります。
また、手術後や麻痺の回復期には、状態に応じてリハビリが必要になることもあります。ただし、麻痺の程度や術後の経過によって適した内容や開始時期は異なるため、無理に動かさず、獣医師の指導のもとで進めることが大切です。
とがさき動物病院での診断・治療体制
とがさき動物病院では、小動物外科専門医資格を持つ院長が在籍しており、脳神経外科領域の専門的な判断や手術に対応しています。
犬の麻痺が疑われる場合は、まず神経学的検査を行い、どの部位の神経に問題が起きている可能性があるのかを確認します。そのうえで、必要に応じて画像検査を行い、原因や病変の位置を調べていきます。
院内にはCTを備えており、椎間板ヘルニアをはじめとする多くの神経疾患の評価が可能です。診断から外科適応の判断、手術、術後管理まで一貫して対応できる体制を整えています。
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また、手術後や麻痺の回復期にはリハビリが必要になることもあります。ただし、麻痺の程度や術後の経過によって、適した内容や開始時期は異なります。無理に動かすことで悪化することもあるため、リハビリは獣医師の指導のもとで進めることが大切です。
歩けない、ふらつく、足先が裏返る、排尿がうまくできないといった症状がある場合は、早めにご相談ください。
まとめ
犬の麻痺は、原因や重症度、発症からの時間によって回復の可能性が変わります。
歩けない、ふらつく、足先が裏返る、排尿がうまくできないといった症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、早めに動物病院へ相談しましょう。
また、内科治療で改善しない場合でも、外科治療を含めて再検討することで、別の選択肢が見えてくることがあります。愛犬の歩行に不安がある場合は、専門的な評価を受けることも大切です。
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当院では2026年6月現在、全国で25名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
麻痺についてお困りの際は、当院へご相談ください。
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
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監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-06-30
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