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【獣医師監修】愛犬の目が揺れている? 獣医師が解説する眼振の原因と治療法

2025/01/10

目が一点を見つめているのではなく、上下左右に揺れている状態を「眼振」といいます。愛犬にこのような様子がみられたら、「意識はあるのかな…?」「このまま動かなくなってしまうのでは…?」と不安になりますよね。眼振はさまざまな病気が原因で発症するため、まずはその原因を突き止め、早期に治療を始めることがとても重要になります。
今回は、その特徴や原因だけでなく、同時に現れる症状や、動物病院での診断・治療法などもお伝えします。

■目次
1.犬の眼振とは? その特徴と原因
2.眼振に伴う他の症状
3.獣医師による診断方法
4.眼振の治療法と管理方法
5.予防法と早期発見のポイント
6.まとめ

 

犬の眼振とは? その特徴と原因

眼振とは、眼球が犬の意識とは関係なく動いたり揺れたりする状態を指します。健康な犬でも見られる「生理的眼振」という正常な現象もありますが、以下の異常な眼振が見られる場合は、何らかの疾患が関係している可能性があります。

・水平眼振:頭を固定していても、目が左右に揺れる
・垂直眼振:頭を固定していても、目が上下に動く
・回旋眼振:頭を固定していても、目がぐるぐると回転するように動く
・頭位変換誘発性眼振:頭を固定した状態では問題がみつからなくても、急に頭を動かした直後に眼振が現れる

これらの異常な眼振の原因としては、以下の病気が考えられます。

前庭疾患
前庭というバランス感覚をコントロールする部分がダメージを受けることで発症します。原因がわからないケースも多くあります。

脳の異常
脳腫瘍や脳炎、脳梗塞などが原因として挙げられます。
脳腫瘍についてはこちらをご覧ください
脳炎についてはこちらをご覧ください
脳梗塞についてはこちらをご覧ください

中毒
メトロニダゾールなど、中枢神経に悪影響を及ぼす薬物の中毒で起こります。

耳の感染症
外耳炎や中耳炎といった耳の感染症が悪化すると、内耳にまで炎症が及ぶことがあります(内耳炎。内耳はバランス感覚をコントロールしているので、眼振などの症状が現れます。

 

眼振に伴う他の症状

眼振がみられる場合、以下の症状が同時に現れることもあります。

まっすぐ歩けない、立てない
首を傾ける(斜頸)
嘔吐
食欲不振や元気の低下

 

獣医師による診断方法

まず、飼い主様への問診を通じて症状を詳しく伺います。その後、身体検査と神経学的検査を実施し、異常がある場所を特定します。さらに必要に応じて、MRIやCTを用いた画像診断を行い、脳や内耳の状態を詳細に調べます。血液検査では、感染症や中毒の有無を確認し、他の潜在的な疾患が原因でないかを調べます。

なお、こうした専門的な検査だけでなく、ご家庭での症状や記録なども正確な診断に役立ちます。そのため、眼振の原因を突き止めるには、飼い主様のご協力や獣医師との連携も欠かせません。

 

眼振の治療法と管理方法

眼振の治療法は原因によって異なります。以下は主な治療法です。

・前庭疾患:吐き気止めなどの対症療法、リハビリテーション
・脳の異常:薬物療法や放射線治療など
・中毒:原因となる薬物投与の中止
・耳の感染症:抗菌薬による薬物療法や手術

また、眼振が長期にわたって続く場合、治療やケアが長引く可能性があります。愛犬の快適な生活をサポートするため、ご家庭では次のような点に気をつけて過ごしていただくことをお勧めします。

・安全な環境づくり
ふらついてうまく歩けないケースも多いため、行動範囲を制限して、その中では段差を極力なくす、マットを敷く、鋭利なものは置かないなどを心がけましょう。

・食事の工夫
神経症状によってうまくフードが食べられない場合は、流動食を用意する、フードをふやかす、口元に運んで食事を手伝うなどの工夫が必要です。

 

予防法と早期発見のポイント

眼振の発生を予防するには、日常生活での健康管理が重要です。以下のポイントを心がけましょう。

定期的な健康診断
耳のケア
バランスのとれた食事
適度な運動

また早期発見・早期治療を実現するには、ご家庭での様子の変化にいち早く気付くことがポイントになります。視線がまっすぐ向いているか、歩き方に異常がないか、食事をしっかり摂っているかを確認しましょう。

 

まとめ

眼振は、神経系や感覚器の異常が原因で発症する症状のひとつです。今回ご紹介した症状や原因に心当たりがある場合は、放置せず早めに動物病院を受診してください。また、日頃から耳のケアや定期健診を行うことで、眼振の発症リスクを下げ、愛犬の健康を守ることができます。

ご不安な点などあれば、お気軽に当院までご相談ください。

 

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
眼振のことでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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