犬のレッグ・ペルテスについて┃大腿骨頭が壊死を起こす病気
2024/03/21
レッグ・ペルテス病(レッグ・カルベ・ペルテス病や無菌性大腿骨頭壊死症とも呼ばれます)は成長期の小型犬に発生する病気で、大腿骨頭や骨頚部が壊死してしまう病気です。
初期には軽度の歩様の変化がみられる程度ですが、そのままにしておくと壊死が進行し、重度の歩様異常や強い痛みが出るため早期発見・早期治療が大事です。
今回は犬のレッグ・ペルテスについて、その概要とともに当院での治療法を紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
◼️原因
レッグ・ペルテスは、何らかの理由によって大腿骨頭(大腿骨の付け根にあるボール状の構造で、骨盤の寛骨臼と接続する部分)や骨頚(大腿骨頭と大腿骨幹をつないでいる部分)に血液が供給されないことで、壊死を引き起こす病気です。
その詳しい原因は明らかになっていませんが、ホルモンの影響や遺伝、構造的な問題などが考えられています。好発犬種には、トイ・プードルやポメラニアン、マルチーズ、テリア種などの小型犬が知られていて、ほとんどが1歳未満の成長期に発症します。
◼️症状
発生初期には後ろ足に違和感を覚え、患側の足をかばうように歩きます。
症状が進行すると大腿骨頭や骨頚が変形し、痛みから足を挙げたり筋肉がやせ細っていきます。なお、大腿骨頭の壊死は片側に起こることが多いのですが、左右両方に発症するケースもあります。
◼️診断
まずは歩き方や足の筋肉量を観察するとともに、触診で痛みや関節のズレがないかを確認します。レッグ・ペルテスでは、股関節の後方伸展時に痛みが生じることが特徴的です。
骨や関節の病気が疑われたら、X線検査を実施して、病変がある場所を特定します。X線検査では、レッグ・ペルテスの場合、大腿骨頭が変形していたり、壊死によってモヤがかかったり斑点状に写ったりしますが、初期ではこうした変化がよくわからないこともあります。そのようなケースでは、1~2週間程の間隔をあけて再度受診いただくか、CT検査で詳しく調べる場合もあります。
◼️治療
症状が軽度で病変がほとんどみられない場合には保存療法を選択することもありますが、多くのケースで手術が必要になります。
当院では、壊死した大腿骨頭を取り除く方法(大腿骨頭切除術)を採用しています。この方法では、切除された大腿骨頭に代わって線維組織が関節の役割を担い、次第にうまく歩けるようになります。この手術では、術後のリハビリがとても重要で、なるべく早くから始めることをお勧めします。
◼️予防法やご家庭での注意点
遺伝などの要素が関わるといわれているため、これといった予防法はありません。
症状が悪化して足の筋肉が減ってしまうと、術後のリハビリに時間を要してしまうため、早期に治療を始めることがポイントです。少しでも歩き方に違和感を覚えたら、早めに動物病院を受診しましょう。
◼️まとめ
レッグ・ペルテスは成長期の犬に発症する病気のため、治療が遅れるとその後の生活の質(QOL)に大きく影響してしまいます。特に好発犬種を飼育されている場合は、今回解説した内容を参考にしていただき、歩き方や足の状態に注目してみましょう。また、当院では外科を専門とする獣医師が所属し、数多くの症例を経験しているため、愛犬の状態にあわせて最良のご提案が可能です。
当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
レッグ・ペルテスについて気になることがあれば、当院へご相談ください。
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
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とがさき動物病院
<参考文献>
Legg Calvé Perthes disease in the dog – ScienceDirect
Legg-Perthes disease in the dog–a review. – PMC (nih.gov)
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