犬の神経外科手術とは?手術が必要な病気と検査・術後までの流れ

犬の神経外科手術は、脳や脊髄、神経に生じた異常を外科的に治療する方法です。
後ろ足に異常が表れることがある椎間板ヘルニアや、発作や行動の変化などを引き起こすことがある脳腫瘍の治療の選択肢として検討されることがあります。

「どのような手術なのか」「愛犬の体にどの程度の負担がかかるのか」「どの動物病院に相談すればよいのか」などと、不安を抱える飼い主様もいらっしゃるかもしれません。

神経外科手術がどのように行われるのかを知ることで、愛犬に合った治療を考える際の手助けになります。

今回は、犬の神経外科手術が必要になる主な病気、受診から手術、術後までの流れを解説します。

目次

犬の神経外科手術とは

犬の神経外科手術とは、脳、脊髄、脊椎、末梢神経などを対象とする外科治療です。

例えば、脊髄を圧迫している椎間板物質を取り除いたり、不安定な脊椎を固定したりする手術があります。脳や脊髄の腫瘍では、病変の位置や広がりに応じて摘出や圧迫の軽減を検討することもあります。

しかし、神経疾患の中にはてんかんや脳炎、変性性脊髄症のように、内科治療や生活支援が中心となる病気もあります。
また、同じ病気でも症状の程度や進行速度によって適した治療は異なります。
そのため、すべてのケースで「神経疾患と診断されたら手術になる」と決まるわけではなく、検査結果と犬の全身状態、飼い主様の希望を踏まえて判断します。

犬の神経外科手術が検討される主な病気

神経外科手術の対象には、脊髄の圧迫を起こす病気、脊椎を不安定にする病気、脳や脊髄に発生する腫瘍などがあります。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出したり膨らんだりして、脊髄や神経を圧迫する病気です。代表的な症状として、首や背中の痛み、足のふらつき、麻痺などが表れます。

胸腰部椎間板ヘルニアでは、神経症状の程度を段階(グレード)に分けて評価する方法があります。ただし、分類法によって各段階の定義が異なるため、グレードだけで治療方針が決まるわけではありません。
歩行が難しい場合や麻痺が進行している場合、内科治療を行っても強い痛みが続く場合などには、画像検査の結果や全身状態を踏まえ、脊髄への圧迫を取り除く手術を検討します。

椎間板ヘルニアについてより詳しく知りたい方はこちら

また、首に病変がある頸部椎間板ヘルニアの場合は「頭を動かしたがらない」「首を下げたままにする」「抱き上げると鳴く」などの変化がみられます。

犬の頸部椎間板ヘルニアについてより詳しく知りたい方はこちら

馬尾症候群

馬尾症候群は、腰から尻尾へ伸びる馬尾神経が圧迫される病気です。腰や尻尾の付け根の痛み、後ろ足のふらつき、立ち上がりにくさなどが表れます。

内科治療で改善がみられない場合や神経症状が強い場合には、神経の圧迫を取り除く減圧術や脊椎を安定させる固定術を検討します。

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脊椎の骨折や環椎・軸椎亜脱臼

事故などによる脊椎の骨折や脱臼、生まれつき首の骨が不安定になる環椎・軸椎亜脱臼では、脊髄が圧迫されたり傷ついたりすることがあります。
脊椎の不安定性や神経症状の程度に応じて、固定手術などを検討します。

脳腫瘍・脊髄腫瘍

脳や脊髄に腫瘍ができると、発作、行動の変化、旋回、歩行異常、麻痺などが表れることがあります。
検査結果と犬の全身状態を踏まえ、外科治療、放射線治療、薬による治療などから治療方針を検討します。適した治療は腫瘍の種類や位置、広がりによって異なるため、画像検査などで詳しい状態を確認することが大切です。

神経外科手術では、周囲の脳や脊髄への影響に配慮しながら、腫瘍を可能な範囲で摘出したり、神経への圧迫を和らげたりすることを目指します。

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受診から神経外科手術・退院までの流れ

「急に立てなくなった」「麻痺が進行している」「首や背中の強い痛みが続く」といった症状は、神経外科手術を検討する病気でみられるサインです。動物病院では、診察や検査で異常のある部位と重症度を確認し、治療方針を立てていきます。

1. 問診・神経学的検査
症状が始まった時期や変化を伺い、神経症状の程度と異常が疑われる部位を確認します。

犬の神経学的検査の流れについてより詳しく知りたい方はこちら

2. 画像検査と全身状態の確認
必要に応じて血液検査やX線検査、CT検査、MRI検査などを行います。麻酔が必要な検査や手術に備え、持病や内臓の状態も確認します。

X線検査(レントゲン):脊椎の配列や骨の変化を確認するために役立つ
CT検査:頭蓋骨や脊椎などの骨の構造を把握しやすい
MRI検査:脳や脊髄などの軟らかい組織の評価に適している

当院ではCT検査を院内で実施しており、MRIによる詳しい検査が必要と判断した場合には、連携する外部施設をご案内いたします。

CT・MRI検査についてより詳しく知りたい方はこちら
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3. 治療方針の相談
内科治療と外科治療について、期待できること、考えられる合併症、術後に必要な介助などを説明します。年齢だけで手術の可否を決めず、全身状態や生活の質(QOL)、飼い主様の希望を踏まえて方針を考えます。

4. 手術・入院管理
病変に応じた方法で手術を行い、術後は痛み、神経症状、食欲、排尿・排便などを確認します。入院期間は手術内容や回復の経過によって異なります。

5. 退院・経過観察
退院時には、傷口の管理、投薬、運動制限、排尿の補助など、家庭で必要なケアをお伝えします。定期的な診察で神経症状や歩行の変化を確認します。

手術の後も定期的な診察と家庭でのケアを続け、神経症状や回復の経過に合わせて管理方法を調整することが大切です。

犬の神経外科手術後に必要なケア

神経外科手術後は、手術した部位への負担を抑えるため、獣医師の指示に沿って安静を保つことが大切です。
愛犬が元気そうに見えても激しい遊びや運動は再開せず、獣医師から指示された期間と運動量を守りましょう。

リハビリは必ずしも「早く始めればよい」とは限りません。
手術部位や神経症状、傷口の状態に合わせて、関節をゆっくり動かしたり、体を支えながら立つ練習をしたりします。
内容と開始時期は獣医師に確認し、無理のない範囲で続けましょう。

また、ご自宅では滑りにくい床を用意し、段差や階段への移動を制限します。歩行が不安定な場合は、転倒の防止、床ずれへの対策、排尿・排便の補助が必要になる場合もあります。

とがさき動物病院の神経外科診療

犬の歩行異常や麻痺は、神経疾患だけでなく、骨や関節の病気から表れることもあります。当院では神経学的検査と整形外科的検査を組み合わせ、内科治療で経過をみるか、外科治療を検討するかを判断しています。

当院では2026年6月現在、全国で27名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心に、脊髄・脊椎外科や脳神経疾患を含む外科診療に携わっています。この資格は、外科に関する所定の研修や臨床経験などの要件を満たし、専門医試験に合格した獣医師が認定されるものです。

こうした外科診療の知識と経験をもとに、当院では愛犬の状態と今後について分かりやすくお伝えすることを心がけています。手術そのものだけでなく、手術を行わない選択肢や考えられる合併症、術後管理についてもご相談いただけます。

「神経の病気か分からない」「手術が必要か意見を聞きたい」という段階でもご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

まとめ

犬の神経外科手術は、椎間板ヘルニアや馬尾症候群、脊椎の骨折、脳・脊髄腫瘍などに対して検討される治療です。

神経外科手術には、必要な設備に加えて、脳や脊髄、神経に関する知識と外科診療の経験が求められるため、神経外科手術への対応状況は動物病院によって異なります。

当院は三郷市を拠点に身近なかかりつけ医として一般診療を行いながら、神経外科手術・術後管理までワンストップで対応できる総合病院のような体制を整えています。

神経症状にお悩みの飼い主様や、神経外科手術を検討されている飼い主様は、当院へご相談ください。

埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
とがさき動物病院

監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-09-09

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