突然の発作、そのとき家で何をする?|犬のてんかん発作に慌てないための家庭内マニュアル
2026/05/24
〈この記事の要約〉
「さっきまで元気だったのに、急に動かなくなった」「手足がぶるぶるとけいれんしている」
愛犬に突然こうした様子が見られると、強い不安や驚きを感じる飼い主様も多いのではないでしょうか。
発作は前触れなく起こることが多く、てんかんだけでなく、脳の病気や代謝異常などが関係している場合もあります。発作中は自分の状態をコントロールできないため、飼い主様の対応がとても重要になります。
特に、以下のような状況では早めの対応が必要です。
・発作が5分以上続いている
・短時間で発作を繰り返している
・発作後も意識が戻らない、ぐったりしている
・初めて発作が起きた
こうした場面では無理に触れたりせず、まずは安全を確保しながら落ち着いて様子を観察することが大切です。
この記事では、犬のてんかん発作が起きたときにご家庭でできる対応や注意点、受診の目安、そして動物病院での診療の流れについてわかりやすくご紹介します。

■目次
1.犬の「発作」とは何か
2.発作が起きた直後に“まずやること”
3.やってはいけない対応
4.発作中・発作後に観察してほしいポイント
5.すぐ受診・相談が必要なケース
6.動物病院では何を確認・検査するのか
7.「てんかんと診断されたあと」の生活イメージ
8.まとめ
犬の「発作」とは何か
発作とは、脳の異常な電気活動によって起こる突発的な症状を指します。犬ではてんかんによるもの(てんかん発作)が代表的ですが、実際には以下のようにさまざまな原因で起こります。
・てんかん(特発性てんかん)
・脳腫瘍や外傷などによる脳の異常
・低血糖や肝疾患などの代謝異常
・中毒 など
また、てんかんは原因によって次の2つに分類されます。
・特発性てんかん:原因が特定できないもの。多くのてんかんが該当します。
・構造的てんかん(症候性てんかん):脳腫瘍や外傷など、原因が特定できるもの。
一般的に、犬の特発性てんかんは1〜5歳ごろに初回の発作が起こることが多いといわれています。
てんかんについてより詳しく知りたい方はこちら
脳腫瘍についてより詳しく知りたい方はこちら
発作が起きた直後に“まずやること”
発作が起きたときは、次の対応を優先してください。
・まず飼い主様が落ち着く
慌ててしまうと適切な判断が難しくなるため、深呼吸して状況を確認します。
・周囲の安全を確保する
家具や段差などにぶつからないようにスペースを確保します。水場や階段から離すことも重要です。
・無理に体を押さえない
けいれん中は制御できない動きがあるため、無理に押さえるとケガにつながる恐れがあります。
・口の中に手を入れない
「舌を噛むのでは」と心配されることがありますが、実際には手を入れる方が危険です。
・発作の開始時刻を確認する
発作の長さは診断において非常に重要な情報です。可能であれば時計を確認しましょう。
やってはいけない対応
一方で、以下のような対応は愛犬に負担をかけたり、逆に症状を悪化させたりする危険性があります。
・大声で呼びかける、揺さぶる
・無理に立たせる、歩かせる
・自己判断で薬や水を与える
・「そのうち治る」と長時間様子を見続ける
発作中・発作後に観察してほしいポイント
動物病院では、ご家庭での発作の様子を詳しく伺います。余裕があれば、以下のポイントをチェックしてみましょう。その際、スマートフォンで動画を撮影するのもおすすめです。
・発作の持続時間
・体の動き(全身or部分的)
・意識の有無
・発作後の様子(ふらつきや混乱、失禁の有無 など)
すぐ受診・相談が必要なケース
発作には緊急性の高いケースがあります。以下に当てはまる場合は、早急に動物病院へ連絡してください。
・発作が5分以上続く
・発作が止まらない、または短時間で繰り返す(群発発作)
・意識が戻らない
・初めての発作である
・発作後もぐったりしている、回復しない
特に危険なのが「重積発作」です。一般的には30分以上とされますが、臨床的には5分を超える発作でも緊急対応が必要と考えられています。
動物病院では何を確認・検査するのか
動物病院では、発作の原因を特定するために段階的な検査を行います。
・問診(発作の頻度・経過・生活状況)
・神経学的検査
・血液検査
・必要に応じて画像検査(MRI・CTなど)
神経学的検査の流れについてより詳しく知りたい方はこちら
MRI・CT検査でわかることについてより詳しく知りたい方はこちら
「てんかんと診断されたあと」の生活イメージ
これらの検査によって、てんかんと診断された場合、多くは抗てんかん薬による内科治療を行います。ただ、現実的には発作をまったくゼロにするのが難しいこともあります。そのため、発作の回数を減らすことや、発作が起きても症状をできるだけ軽くすることを目標に治療を進めていきます。
お薬の服用を忘れると発作が起こりやすくなってしまうので、毎日欠かさず与えることが重要です。薬の量や効き目、愛犬の状態をチェックし、お薬の与え忘れを防ぐためにも、発作日誌をつけるとよいでしょう。
基本的には生涯にわたってお薬が必要になりますが、うまくコントロールできれば健康な犬と同じような生活を送れます。過度に怖がりすぎず、愛犬との時間を楽しむことがなによりも大切です。
まとめ
愛犬の発作を目の前にすると、誰でも強い不安を感じます。
しかし、事前に「何をすべきか」「何をしてはいけないか」を知っておくことで、落ち着いて対応することができます。
発作が起きたときは、まず安全を確保し、発作の様子を観察することが重要です。そして、異変を感じたら早めに動物病院へ相談しましょう。
とがさき動物病院では神経疾患を専門とする獣医師が在籍しており、万全の体制で飼い主様と愛犬をサポートしています。ご不安な点があれば、お気軽にご相談ください。
当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
犬のてんかん発作の対応について気になることがあれば、当院へご相談ください。
<参考文献>
International veterinary epilepsy task force consensus report on epilepsy definition, classification and terminology in companion animals | BMC Veterinary Research | Full Text (biomedcentral.com)
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
埼玉県三郷市・吉川市・八潮市・越谷市で神経疾患・整形疾患の診療を受けるなら
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監修:とがさき動物病院 院長 灰井康佑|最終更新:2026-05-24
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