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犬の脳のMRI・CT検査│画像診断でわかること、検査の流れを獣医師が解説

2025/07/10

「MRIやCT検査が必要です」と言われたとき、「うちの子、何か大きな病気なのでは…」「全身麻酔って本当に大丈夫?」そんな不安を抱える飼い主様は少なくありません。

脳や神経の病気は、血液検査やX線などでは詳しくわからないことも多く、高度な画像診断(MRI・CT)によってようやく原因が見えてくることがあります。そのため、適切な治療につなげるには、早期の受診と正確な検査が重要になります。

今回は犬の脳疾患に対するMRI・CT検査について、診断が必要になる症状や実際の流れ、検査の特徴などをご紹介します。

■目次
1.犬の脳の画像診断が必要となる主な症状
2.MRI検査とCT検査の違いと特徴
3.脳の画像診断でわかること
4.検査の実際の流れと準備
5.画像診断後の治療選択肢
6.まとめ

 

犬の脳の画像診断が必要となる主な症状

以下のような症状がみられる場合、脳の異常が疑われるため、MRIやCTなどの画像検査が検討されます。

頭部の外傷
けいれん発作
意識の混濁・失神
急激な性格や行動の変化
ふらつきやバランス感覚の異常

血液検査やレントゲン検査といった一般的な検査では、動物の大まかな健康状態や全体的な様子はわかりますが、脳の細かい構造や変化などは確認できません。

 

MRI検査とCT検査の違いと特徴

MRIとCTはどちらも画像検査ですが、得意とする対象や撮影の仕組みに違いがあります。

〈MRI(磁気共鳴画像法)〉

磁場と電波を使って、体内の水分や脂肪の分布を画像化します。
とくに脳や脊髄などの軟部組織の描出に優れており、炎症や腫瘍の評価に適しています。一方で、CT検査とくらべて撮影条件が多いため、撮影に時間がかかるという欠点があります。また、設備を備えた動物病院も限られるため、費用はやや高額になる傾向があります。

〈CT(コンピュータ断層撮影)〉

X線を360度から連続的に照射し、断面(あるいは3D像)を画像上に映し出します。頭蓋骨や脊椎の異常、出血の有無などを短時間で確認でき、MRIよりも費用が比較的抑えられることが特徴です。

これらの検査の特性を理解して、犬の症状や疑われる病気によってうまく使い分けます。

 

脳の画像診断でわかること

脳の画像診断では、以下のような病気や異常を確認することができます。

脳腫瘍
脳炎(感染性または免疫介在性)
水頭症
脳梗塞
脳内出血 など

脳腫瘍の症状や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
脳炎の分類や症状、治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
水頭症の症状や治療方法についてより詳しく知りたい方はこちら
脳梗塞の症状や治療法についてより詳しく知りたい方はこちら

これらの病変がどこに、どの程度の大きさで存在しているかを確認することで、治療方針が大きく変わります。
たとえば、同じような神経症状でも、脳炎であれば免疫抑制剤が中心になりますし、腫瘍であれば放射線治療や手術が必要になることもあります。

 

検査の実際の流れと準備

画像検査は安全に実施するために、以下のような準備と流れで進められます。

1.検査前の準備
誤嚥を防ぐため、目安として検査の12時間前からの絶食、3時間前からの絶水をお願いしています。

2.麻酔管理
安全に検査するためには、全身麻酔が必要となるため、心臓や肝臓の状態を事前に確認し、安全性を高めたうえで実施します。

3.検査の実施
モニターでバイタル(心拍、呼吸、血圧など)を管理しながら検査を行います。
CT検査は当院で実施可能ですが、MRI検査は外部の検査センターにご案内させていただきます。
検査時間の目安として、CTは数十分、MRIは30分〜1時間程度で終了します。

 

画像診断後の治療選択肢

検査結果をもとに、以下のような治療法を検討します。

・薬物療法:抗てんかん薬、ステロイド、抗生物質など
・手術:腫瘍摘出、減圧処置など
放射線治療など

病変の種類・部位・犬の年齢や体力などに応じて、最も適切な治療が選ばれます。
検査結果については、獣医師が丁寧にご説明し、治療方針に納得していただいたうえで一緒に進めていくことを大切にしています。

万が一、ご不安がある場合にはセカンドオピニオンを検討するのも一つの方法です。

 

まとめ

MRIやCT検査は、愛犬の脳や神経の状態を正確に把握し、的確な治療につなげるために欠かせない検査です。近年では医療技術の進歩により、かつて診断が難しかった病気でも、早期に発見・治療ができる可能性が広がっています。大切なのは、症状に早く気づき、ためらわずに行動することです。

また、とがさき動物病院では、神経疾患や椎間板ヘルニアを含む整形外科疾患に力を入れており、CTによる画像診断も対応しています。
診断や治療について不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
脳のMRI・CT検査のことでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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