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小型犬に多い神経疾患┃チワワ・パグなど犬種別の特徴と早期発見のポイント

2025/08/08

「なんだか最近、後ろ足がふらついている」「片足をかばうような歩き方が気になる」「頭が傾いているけど、年齢のせい?」そんな違和感を抱いている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

こうした変化は、加齢のせいと思い込んでしまいがちですが、実は神経疾患が隠れていることもあります。特にチワワやパグ、トイ・プードル、ポメラニアンなどの小型犬は、神経疾患のリスクが比較的高い犬種として知られています。

神経疾患は、早期に気づいて対処すれば進行を抑えられる可能性があるため、日常のちょっとした違和感も見逃さないことが大切です。

今回は、小型犬に多くみられる神経疾患について、犬種ごとの特徴や、早期発見のポイントをわかりやすくご紹介します。

■目次
1.小型犬に多い神経疾患とは?
2.犬種別に見る、注意したい神経疾患とその特徴
3.診断方法
4.治療方法
5.おうちでできるケアと、飼い主様にできること
6.まとめ

 

小型犬に多い神経疾患とは?

神経疾患とは、脳・脊髄・末梢神経といった神経系に異常が生じることで発症する病気の総称です。

神経は、体の動きや感覚をコントロールする重要な役割を担っており、異常が起きると歩き方や行動、反応などにさまざまな変化が現れます。
たとえば、以下のような症状が見られる場合は、神経疾患の可能性があります。

歩き方が不自然、体が傾く
足元がふらつく、不意につまずく
震えやけいれんが出る
名前を呼んでも反応が鈍い
視線が定まらない、見えていないように感じる

これらの症状は、はっきり目に見える場合もあれば、仕草のちょっとした変化から始まることもあります。

また、これからご説明することにも関連しますが、小型犬は頭や骨格が繊細なため、特定の神経疾患が起こりやすい犬種がいることを覚えておきましょう。

 

犬種別に見る、注意したい神経疾患とその特徴

次のような犬種では、特定の神経疾患が起こりやすいことが知られています。愛犬の犬種が当てはまるようであれば、普段から様子をよく観察しておくとよいでしょう。

〈チワワ〉

てんかん水頭症など、脳に関連する疾患が多く見られます。
てんかんでは、体や顔の一部がピクピクと動いたり、意識が飛んだような発作が起こったりすることもあります。
また、水頭症は遺伝的に発症リスクが高く、子犬の頃から注意が必要です。ぼんやりして元気がない、頭が丸く大きく見えるといった外見の特徴が見られることもあります。

〈パグ〉

脳炎脊椎の異常に注意が必要です。パグ脳炎(壊死性髄膜脳炎)と呼ばれる、自己免疫性の脳炎が比較的よくみられ、てんかんのような発作が現れます。その他、後ろ足のふらつきや性格の変化、歩き方の異常などが初期のサインになることもあります。

〈トイ・プードル、ポメラニアン など〉

てんかん椎間板ヘルニアが多く見られます。突然倒れる、背中を丸めて痛がる、後ろ足の動きがおかしいなどのサインに注意が必要です。とくに椎間板ヘルニアでは、痛みが原因で動きが鈍くなったり、触られるのを嫌がったりすることもあります。

〈ミニチュア・ダックスフンド〉

椎間板ヘルニアの好発犬種として知られており、急に歩けなくなる、足を引きずる、階段を怖がるといった症状が見られることがあります。初期には「少し元気がない」「段差を嫌がる」など軽度な変化から始まるため、早めの対処が鍵になります。

このように、神経疾患はけいれんや発作だけでなく、歩き方の異常や性格の変化、痛みといったさまざまな症状を引き起こします。「なんとなく様子が変だな」と感じた時点で、早めに動物病院へ相談することが大切です。症状が軽いうちに気づければ、それだけ治療の選択肢も広がります。

 

診断方法

神経疾患の原因は多岐にわたるため、症状や進行度に応じて段階的な診断が必要です。

・問診・視診
ご家庭での様子や行動の変化について詳しくお聞きし、目で見える異常を確認します。特に、動画を撮影しておくと獣医師が細かな変化を把握しやすくなります。

・神経学的検査
意識、反射、歩行などを評価し、どの部位の神経に異常があるのかを推測します。

・画像診断
必要に応じて、X線(レントゲン)やCT、MRIなどの画像検査を実施します。脳や脊髄、椎間板の構造的な異常を見つけるのに有効です。

 

治療方法

治療は、病気の種類や進行具合によって異なります。

〈外科的治療〉

椎間板ヘルニアや脳腫瘍など、明確な病変が確認された場合には手術が選択されることがあります。手術の有無は、症状の重さや年齢、全身状態などを考慮して判断します。

〈内科的治療〉

てんかんや脳炎などでは、抗てんかん薬や免疫抑制剤、抗炎症薬などを使った内科的管理を行います。長期間の服薬が必要になるケースもあるため、定期的な経過観察とフォローアップが重要です。

治療効果には個体差があり、完全に治すことは難しい場合もありますが、早期に対処できれば回復の見込みが高くなります。そのため、「もう治らないから…」と決めつけず、症状の改善やQOL(生活の質)の向上を目指して、できる限りのケアを続けていくことが大切です。

 

おうちでできるケアと、飼い主様にできること

愛犬が快適に暮らしていくためには、動物病院での治療とあわせて、ご家庭でのケアも重要です。

・静かで安心できる生活環境の整備
大きな音や騒がしい空間は犬にとってストレスとなるため、落ち着けるスペースを確保してあげましょう。

・足腰にやさしい住環境づくり
滑りにくいマットやカーペットを敷いたり、階段やソファにはスロープを設置することで、転倒や過度なジャンプによる負担を軽減できます。

・ストレスの軽減と精神的サポート
日々のスキンシップや優しい声がけは、精神的な安定につながります。飼い主様との信頼関係は、治療への前向きな姿勢にもつながる大切な要素です。

 

まとめ

小型犬に多い神経疾患は、見た目からはわかりにくいこともあり、年齢による変化と勘違いされることがあります。「年齢のせいかな」「少し様子見しよう」と思わずに、「ちょっとおかしいかも?」と感じた段階で、早めに動物病院を受診しましょう。また特定の犬種で多い病気もあるので、愛犬にはどういったリスクがあるのかを把握し、何かあったときに行動に移せるようにしておくとよいでしょう。

とがさき動物病院では、椎間板ヘルニアをはじめとした神経疾患・整形外科疾患の診療に力を入れています。
「今の病院では診断や治療が進まない」「もっと詳しく検査してほしい」と感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。CT完備、MRI検査も外部と連携して対応可能です。

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
神経疾患についてお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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