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犬の免疫介在性関節炎について┃自分の免疫が自らを攻撃してしまうことで起こる病気

2024/05/07

犬がびっこを引いたり、お散歩に行きたがらなくなったりする場合に考えられるのが、関節の病気です。関節の病気といっても様々な原因がありますが、今回はその中でも「免疫介在性関節炎」についてお話します。この病気はその名の通り、自己免疫異常により、自らを攻撃してしまうことで四肢の関節に炎症が生じ、関節の痛みや発熱を起こす疾患です。犬の免疫介在性関節炎は、各種検査を行って原因をきちんと特定し、速やかに治療することがとても重要になります。
今回は犬の免疫介在性関節炎について、当院での治療実績を踏まえながら、基本的な情報を紹介します。

■目次
1.原因
2.症状
3.診断
4.治療
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

◼️原因

関節炎は大きく感染性非感染性に分けられ、非感染性関節炎はさらにびらん性と非びらん性に分けられます
びらん性関節炎では多発性関節炎が、非びらん性関節炎では関節リウマチが多くみられます

日本ではミニチュア・ダックスフンドで頻発し、年齢に関係なく発症することも特徴的です。

これらはアレルギー反応や免疫が関与して発症すると考えられており、免疫介在性関節炎と呼ばれています。

◼️症状

手足の関節に炎症が起こることで、歩きたがらない、寝ていることが多い、元気や食欲がないなどの症状が現れます。
また炎症が広がると、全身のこわばりや発熱、貧血、首や背中の痛みといった症状がみられることもあります。

◼️診断

まずは、実際に関節を触って痛みの場所を確認するとともに、血液検査や関節液の検査を実施します。
免疫介在性関節炎は、椎間板ヘルニアや前十字靭帯断裂といった、免疫が関わらない関節の病気と間違えやすいので、慎重に検査で区別していきます。

犬の前十字靭帯断裂についてはこちらから
犬の椎間板ヘルニアについてはこちらから

血液検査では、炎症反応を示す数値(CRP)の上昇に注目します。また関節液を採取すると、黄色っぽく濁った液体が確認できます。さらに関節液を顕微鏡で観察すると、炎症細胞が観察できることがあります。

その他にも、抗核抗体(ANA)検査やリウマチ因子検査といった、特殊な検査の結果も総合的に判断して、診断に結び付けます。

◼️治療

自分の免疫が関わっているため、免疫抑制療法によって炎症反応を抑えることで治療していきます。

なお当院では、ステロイドやミコフェノール酸モフェチル、レフルノミドやシクロスポリンといった薬剤を使用しています。治療は長期にわたり、ステロイドや免疫抑制剤による副作用が起こらないように気をつけながら、症状が再発しない範囲内でだんだんと薬の量を減らしていくことを目標とします。

◼️予防法やご家庭での注意点

免疫介在性関節炎は、予防が難しい病気です。

愛犬がお散歩に行きたがらない、手足を触ると痛がるといった症状がみられるようであれば、免疫介在性関節炎の可能性があります。ただし、その他の関節の病気と区別して原因を特定するためには、詳細な検査が必要になります。

◼️まとめ

関節の病気はたくさんの原因が考えられますが、「歩きたがらない」といった症状は共通しています。症状が悪化しないうちに、気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。また、当院では外科を専門とする獣医師が所属し、数多くの症例を経験しているため、愛犬の状態にあわせて最良のご提案が可能です。

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当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
愛犬愛猫のことでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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<参考文献>
A Retrospective Study of 40 Dogs with Polyarthritis – Jacques – 2002 – Veterinary Surgery – Wiley Online Library

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