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犬の脳外科手術後のケアとリハビリ完全ガイド|回復を支えるためにできること

2025/07/25

「手術が無事に終わったのは嬉しいけれど、前と同じように生活できるのかな…」「少しふらついているような? 表情も前となんだか違う気がする…」愛犬の脳外科手術後、こうした変化を感じて戸惑う飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

脳の手術は、“治療のゴール”ではなく、“新しい生活のスタート”です。術後の回復には時間がかかることもありますし、リハビリが思うように進まないこともあるかもしれません。そういったときにも前向きに歩んでいけるよう、正しい知識を身につけて、ひとつひとつ不安を整理することが重要になります。

今回は、脳外科手術後にみられる症状からご家庭でできるケアやリハビリ、そして動物病院との連携についてご紹介します。

■目次
1.脳外科手術後にみられることがある症状
2.退院後の生活で気をつけたいこと
3.リハビリの重要性
4.当院でできること
5.飼い主様のサポートが、愛犬の回復を支えます
6.まとめ

 

脳外科手術後にみられることがある症状

脳は、学習・運動・感覚など全身のあらゆる機能をコントロールする“神経の司令塔”です。そのため、たとえ手術で病気そのものが治ったとしても、以下のような神経症状が術後に現れることがあります。

手足の麻痺
ふらつきやバランスの崩れ
視力障害
てんかん発作
性格や反応の変化

てんかん発作の治療方法や飼い主様が気をつけるべき点についてより詳しく知りたい方はこちら

これらの症状の現れ方や回復のスピードには個体差がありますが、多くの場合は時間とともに徐々に改善が期待できます。

ただし、術前の状態や病変の場所・程度によっては、完全な回復が難しいケースも少なくありません。

だからこそ、“完治”を目指すのではなく、「できることを少しずつ取り戻す」ことが重要です。小さな変化を喜び合いながら、長い目で寄り添っていく姿勢が、愛犬にも飼い主様にも無理のない回復を支えてくれます。

 

退院後の生活で気をつけたいこと

愛犬の回復を促すには、動物病院での治療だけでなくご家庭でのケアも大切になります。

〈快適な環境づくり〉

まずは、愛犬が安心して過ごせるような環境を整えましょう。
静かで落ち着けるスペースを用意することで、余計な刺激やストレスを避けることができます。

また、フローリングの床は滑りやすく、転倒の原因になるため、滑り止めのマットやカーペットを敷いて足元の安定をサポートしましょう。
段差がある場所にはスロープを設置することで、移動時の転倒リスクも軽減できます。

〈食事・排泄・睡眠の管理〉

術後は食欲が落ちたり、排泄のタイミングが不安定になったり、深く眠れなくなることもあります。

・食事柔らかく消化しやすいフードを選んだり、食器の高さを調整して首や背中に負担がかからないようにする工夫が有効です。
・排泄:排泄が困難な場合は、愛犬の様子を見ながら排泄のタイミングをこまめに設けてあげることが大切です。必要に応じて介護用おむつやトイレシーツの活用も検討しましょう。
・睡眠:深く眠れるよう、寝床の温度や静けさ、クッション性なども見直してみてください。

〈通院・投薬の継続〉

退院後も定期的な通院による経過観察はとても重要です。
症状の変化や再発を防ぐためにも、獣医師の指示に従って診察や検査を継続し、処方薬は用量・タイミングを守って投与してください。

 

リハビリの重要性

脳外科手術後に残る神経症状を緩和し、生活の質(QOL)を向上させるために欠かせないのがリハビリです。特に脳神経系の疾患は、術後すぐに効果が表れるわけではなく、「回復には時間がかかるもの」という前提で、段階的なアプローチが必要です。

〈主なリハビリの種類〉

◆ 運動療法(動かして鍛える)
可動域訓練(ROMエクササイズ):関節の動きを維持・改善するため、脚や背中などをやさしく動かす運動。固まった筋肉や関節のこわばりを防ぎます。
立位・歩行の補助:ハーネスやスリングを使いながら立たせる・歩かせる練習をします。最初は数秒立つだけでもOK。
バランス練習:バランスディスクやマットの上で姿勢を保つ練習。転倒しないよう補助しながら行います。

◆ 物理療法(外部からの刺激で回復を促す)
温熱療法:患部や緊張の強い筋肉を温め、血流を促進して柔軟性を高めます。
冷却療法:炎症や痛みがある場合は、患部を冷やして症状を和らげることがあります。
電気・レーザー療法:特殊な機器で筋肉を刺激し、麻痺部位の活性化や痛みの軽減を図ります。

◆ ご家庭でできるリハビリ例(※必ず獣医師の指導を受けてください)
・前足や後足をゆっくり伸ばす/曲げるストレッチ
・立たせた状態でおやつを少し上に見せて、首や体幹を使わせる
・愛犬のペースで少しずつ散歩時間を延ばしていく

ただし、間違った方法でリハビリを行うと、かえって症状が悪化する恐れもあります。必ず病院でリハビリ評価を受け、愛犬の状態に合った方法を選びましょう

 

当院でできること

当院は、脳神経系の手術や診断に特化した高度な設備を備えるだけでなく、豊富な知識や経験をもつ獣医師が所属しています。病気を見つけ出すための検査や実際の手術のほか、術後のケアやリハビリのサポートにも力を入れており、トータルでサポートできることが特徴です。

具体的には、個別リハビリメニューの作成、定期的なフォローアップと経過観察、飼い主様への助言などを実施することで、愛犬と飼い主様の快適な生活をご支援する体制を整えています。お困りのことや不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

飼い主様のサポートが、愛犬の回復を支えます

リハビリや治療を計画的に進めることはもちろん大切ですが、愛犬の回復には精神的なサポートも欠かせません

犬は飼い主様との絆を何よりの安心材料としています。
日常のスキンシップや声がけ、「今日もよくがんばったね」と褒めてあげることが、愛犬の気持ちの安定と回復意欲につながります。

一方で、長期のケアによって飼い主様ご自身が疲れてしまうこともあります。
そんなときは無理をせず、病院スタッフや家族に頼ったり、休息をとることも大切です。周囲の支えを上手に活用しながら、少しずつ歩んでいきましょう

 

まとめ

脳外科手術は、愛犬にとっても飼い主様にとっても大きな出来事です。ですが、手術そのものはゴールではなく、新しい生活のスタートなのです。術後には根気強いリハビリが必要になりますが、「できなくなったこと」よりも「今できること」を意識して、焦らず取り組むことがカギになります。当院は脳神経系に強い動物病院として、総合的なサポートを心がけています。ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
犬の脳外科手術後のケアでお困りの際は、当院へご相談ください。

■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください

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