【獣医師監修】愛犬の椎間板ヘルニア – 見逃しやすい初期サイン10選と対処法
2025/01/09
椎間板ヘルニアは犬によくみられる神経の病気で、特にミニチュア・ダックスフンドやチワワなどの犬種に多いことが知られています。これらの好発犬種を飼われている飼い主様は、「我が家の愛犬もいつか歩けなくなってしまうの…?」「どのタイミングで受診したらいいのか、よくわからない…」と不安になることもあるかと思います。椎間板ヘルニアは予防と早期発見がとても重要で、早期に適切な対応がとれれば重症化を防いで、健やかな生活をサポートすることができます。
そのため今回は、ご家庭で注視すべき初期サイン10個を紹介し、椎間板ヘルニアに関する基礎知識と対策について解説します。普段の様子をよく観察していただき、受診の目安にしてみましょう。
■目次
1.椎間板ヘルニアとは? 発症メカニズムを解説
2.要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン①~③:行動の変化
3.要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン④~⑥:姿勢の変化
4.要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン⑦~⑩:痛みのサイン
5.早期発見のために:日常的なチェックポイント
6.対策:獣医師が推奨する日常ケア
7.まとめ
椎間板ヘルニアとは? 発症メカニズムを解説
椎間板は、首から腰にかけて連なる骨と骨の間に位置し、衝撃を吸収するクッションのような働きをもっています。この椎間板が変化すると、背中を通る太い神経の束(脊髄)に接触し圧迫することで、さまざまな神経症状が現れます。このような病気を椎間板ヘルニアと呼び、発生する部位によって「頸部椎間板ヘルニア(首に病変が現れるもの)」と「胸腰部椎間板ヘルニア(背中や腰に病変が現れるもの)」に分けられます。中でも、骨と骨の間に空間的な余裕がない場所で起こりやすいといわれ、頸部ではC2-3、胸腰部ではT11-L3という場所に多いことが知られています。
■椎間板ヘルニアに関連する記事はこちらで詳しく解説しています
犬の椎間板ヘルニアについて
犬のハンセンⅠ型胸腰部椎間板ヘルニアについて
犬のハンセンⅡ型胸腰部椎間板ヘルニアについて
また、この病気は遺伝的に椎間板が変化しやすい小型犬(軟骨異栄養犬種)でよくみられ、その場合には若いころから急に症状が現れます。
要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン①~③:行動の変化
① 階段の昇り降りを嫌がる
初期の神経症状で、足にうまく力が入らなくなっている可能性があります。
② ジャンプを躊躇する
背中に痛みを感じている、あるいは足に力が入りにくくなっている可能性があります。
③ 寝床に入るのをためらう
背中を丸めたときに痛みを感じているかもしれません。
要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン④~⑥:姿勢の変化
④ 背中を丸める
背中に痛みを覚えている可能性があります。
⑤ 後ろ足を引きずる
後ろ足に力が入りにくくなっています。
⑥ 座り方が不自然
後ろ足の麻痺によって、足を前に投げ出す、あるいは後ろ足を横に崩す座り方が見られることがあります。
要注意! 椎間板ヘルニアの初期サイン⑦~⑩:痛みのサイン
⑦ 触られるのを嫌がる
背中や首に触ると痛がる場合があります。
⑧ 急に鳴く
突然強い痛みが現れている可能性があります。緊急性が高いので、早めの受診をお勧めします。
⑨ 食欲がなくなる
慢性的な痛みによるストレスが関与していることがあります。
⑩ 普段と違う場所で休む
痛みによってストレスを感じている、あるいはいつもの場所だと痛くてよく休めていないかもしれません。
早期発見のために:日常的なチェックポイント
初期サインを見逃さないために、日頃から愛犬の様子をよく確認することがとても大切です。具体的には、次のような項目を気にするとよいでしょう。
・歩き方:ふらつき、段差の昇り降り、ジャンプ、散歩への意欲
・痛みの有無:キャンと鳴く、食欲の有無、スキンシップの拒否
・休み方:休憩場所の変化、睡眠時間
・座り方:姿勢、立ち上がる/座る時間
またご家庭でのチェックとともに、定期的に獣医師による診察を受け、専門家の視点から健康状態を確かめることも重要になります。
対策:獣医師が推奨する日常ケア
椎間板ヘルニアにならないために、ご家庭でできる対策があります。
1.適度な運動
激しい運動は避け、リードをつけて毎日お散歩に連れていきましょう。
2.体重管理
太っていると骨や関節に負担がかかるので、食事の量や質をしっかりとコントロールして、肥満を防ぎましょう。
3.生活環境の整備
段差にスロープをつける、滑りやすい床にはマットなどを敷く、寝床には低反発のマットレスを使うことで、椎間板になるべく負担をかけないような環境を整えてあげましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアは、早期に発見できれば治療の選択肢が増え、重症化せずにうまく付き合っていくこともできる病気です。ご家庭では、今回ご紹介したような初期のサインを見逃さないよう、愛犬の様子をよく観察していただき、少しでも疑わしい変化があればすぐに動物病院で診察を受けてください。また、日常のケアや定期的な健康診断によって発症を予防し、健康な時間を少しでも長く保つことも重要です。
ご不安な点などあれば、お気軽に当院までご相談ください。
当院では2023年9月現在、全国で17名のみが認定を受けている「日本小動物外科専門医」の資格を持つ院長を中心として、飼い主様に寄り添ったやさしい医療をご提供できるよう日々研鑽を続けております。
椎間板ヘルニアのことでお困りの際は、当院へご相談ください。
■日本小動物外科専門医の資格についてはこちらをご参照ください
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