犬や猫の椎体骨折について
2023/03/31
椎体とはいわゆる背骨、脊椎のことで、一般に椎体に外部からの強い衝撃が加わり椎体骨折に至ります。犬や猫ではどのような原因で生じるのか、またその治療方法について解説します。
椎体骨折とは
わんちゃん、ねこちゃんの椎体は、頸椎(7本)、胸椎(13本)、腰椎(7本)、仙椎(3本)、尾椎(個体によってさまざま)で構成されています。
これらが何らかの原因によって損傷を受けた結果、骨折に至ったものを椎体骨折といいます。
その多くは外傷に由来するもので、交通事故や高いところからの落下が多数を占めます。
そのほか、栄養や代謝機能の低下、あるいは腫瘍により骨の強度が著しく低下したことで骨折する病的骨折などがあります。
椎体骨折と他の骨折との大きな違いは、椎体の中央には脊髄と呼ばれる重要な太い神経があり、骨折に伴い脊髄を損傷する危険があることです。脊髄損傷を起こすと、麻痺や排泄障害をきたすことがあります。
椎体骨折の診断方法について
わんちゃん、ねこちゃんともに椎体骨折の診断は画像検査で行います。
単純X線(レントゲン)撮影が基本となりますが、より詳細な骨折の評価のためにCTを用いることもあります。
さらに脊髄への影響を精査する場合はMRI検査を実施するなど状況に応じて適した検査手段を選択します。また、手術方法の検討も同時に行います。
椎体骨折の治療方法について
手術により骨折部位を整復(骨折や脱臼の際にずれてしまった骨を正常な位置に戻す処置のこと)します。
骨折部を強固に固定するために、金属製のピンやプレート、骨セメントなどを用います。
椎体の腫瘍をはじめとした病的骨折と呼ばれるケースでは、抗がん剤や放射線治療といった治療を行うこともあります。
脊髄の損傷の有無で手術後の回復期間が左右されます。
また、交通事故をはじめとした全身に強いダメージが及んでいる場合は、椎体に対する処理と合わせて、ダメージを受けている他の部分の治療も並行して実施します。
まとめ
犬や猫における椎体骨折は、通常室内で生活している環境ではそれほど発生するものではありません。
しかしながら高所からの落下や自動車との衝突などといったアクシデントによって受傷してしまうケースが多く見られます。
損傷の程度によっては最善の治療を行っても運動機能に後遺症をきたす恐れがあります。そのため、犬や猫を極力事故のリスクから避ける生活を心がけることも重要な予防法となり得るものといえるのではないでしょうか。
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