犬や猫の脳腫瘍について
2023/03/30
犬や猫にも人間と同じように脳腫瘍が発生することがあります。脳腫瘍は腫瘍の中でも早期発見が難しく、高度な治療を行うことができる病院が限られている現状があります。
今回は、犬と猫における脳腫瘍について、症状や原因、治療法について解説します。
脳腫瘍の症状について
脳腫瘍に伴いよくみられる症状として、発作、異常行動、ヘッドプレッシング(頭を壁におしつける行動)、旋回行動(ぐるぐる意味もなく回る)、失明などがあります。
これらの行動は老化によるものと受け止められるケースも多くありますが、脳腫瘍が隠れていることもあります。
脳のどの部位に腫瘍が発生しているかによって症状は様々です。重度なものになると、生命維持のための中枢機能(呼吸中枢、心臓血管中枢)を抑制することがあります。
脳腫瘍の原因について
犬や猫に発生する脳腫瘍は、頭蓋骨内部の組織にできた腫瘍である原発性脳腫瘍と、他の部位から転移した結果発生する転移性脳腫瘍があります。
原発性脳腫瘍のうち多くは髄膜腫(脳を包んでいる膜から発生する腫瘍のこと)であり、およそ半数を占めます。
転移性脳腫瘍には、リンパ腫、甲状腺癌、乳癌などがあります。
いずれの場合でも、中高齢になると発生頻度が高くなります。
また、原発性の脳腫瘍が発生する原因は、不明な点が多く存在します。
脳腫瘍の診断方法について
犬や猫の脳腫瘍を診断する方法は、症状や病歴、神経学的検査、血液検査などの結果を踏まえ、画像診断を行います。
脳は頭蓋骨に周囲を覆われているため、CRやMRIによって部位や大きさなどの評価を行います。
また、脳脊髄液検査を行うことで脳の炎症との鑑別を行います。
脳腫瘍の治療方法について
脳に限らず腫瘍の治療で最も効果的なのは外科的切除です。脳腫瘍の場合、事前に先述の画像診断を行って的確な切除が行えるように対策をとります。
そのほか、放射線療法や抗がん剤による治療も行われます。これらの治療法を併用しながら個々に適した治療を飼い主様と協議の上決定します。
脳腫瘍の予防方法について
残念ながら、犬や猫の脳腫瘍の発生を完全に予防する方法は確立されていません。
とりわけ、シニア期に達してからは日常生活での様子で変化がないかをよく観察することや、定期的な健康診断を受けることが早期発見につながります。
脳以外の腫瘍が脳へ転移する場合もありますので、体に腫瘍が見つかった場合は早めの対応が望まれます。
まとめ
犬および猫の脳腫瘍は頭蓋骨内部の組織に発生するものや、転移が原因となるものがあります。
また、症状としては主に神経に関連した異常行動や発作が現れます。
早期発見と早期治療が重要となりますが、初期はてんかんなどの他の神経疾患との鑑別が困難なこともあります。
愛犬、愛猫の日頃の様子を観察し、気になる様子がみられたら早めに獣医師にご相談ください。
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